2005 Fiscal Year Annual Research Report
干拓地を対象に農業と野生生物との共生を意図した環境教育牧場創出の実証試験
Project/Area Number |
15380168
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小林 裕志 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (80050615)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 聰 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40092275)
杉浦 俊弘 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30146518)
馬場 光久 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (70286368)
齋藤 宗勝 盛岡大学, 短期大学部, 教授 (70133254)
谷口 建 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80077122)
|
Keywords | 仏沼干拓地 / 環境教育牧場 / 強制排水 / 火入れ / 生態学的草地造成法 / 野生生物 / 地域資源 / グリーンツーリズム |
Research Abstract |
仏沼干拓地における環境教育牧場設置構想を実現させるためには,湿地での草地造成工法の創出,現存する野生生物生息域の維持管理技術およびビオトープの創出技術の確立,環境教育牧場としての維持管理・運営方法の確立などの課題を解決しなければならない。本研究は,これらの課題について実証することを目的としている。 仏沼干拓地は周りの水田より標高が低く,地下水位が高いため,強制排水が必要である。草地造成区において支線排水路,暗渠排水路の効果が発揮され,地下水位の低下が顕著に見られた。一方でビオトープ域においては現在の地下水位が維持され,造成工事の影響は見られなかった。H16年度に不耕起造成法により草地造成された試験区については輪換放牧により再生ヨシの草高が低く維持され,牧草が2年目においても十分生育していることが示された。牛を放牧すると,糞が排泄されるが,草地造成区における土壌動物相は湿生土壌動物群が優占していたものの,牛糞の消失は近隣の放牧草地と差が無いことが示された。 国内希少動植物種に指定されているオオセッカは干拓地内で多数繁殖しているが,オオセッカのテリトリーが形成されるヨシ群落は小排水路からの距離による土壌水分の差により稈長に高低差が生じ,これに伴う照度の強弱が下繁草に影響していることが示された。また,この下繁草がオオセッカのテリトリー形成において重要であることが示唆された。さらに火入れによるヨシ群落の構造の変化や鳥類の利用について調査を実施した。その結果,7月,8月において枯死ヨシの存在もオオセッカにとって重要であることが示唆された。 仏沼干拓地周辺で実施されているグリーンツーリズムに環境教育牧場を取り込むことを意図して,参加者を案内するエスコーター養成のための研修会を実施した。
|