2004 Fiscal Year Annual Research Report
アグロフォレストリーの作物環境ストレス軽減機能の解明
Project/Area Number |
15380172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻谷 哲夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (00260612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30144348)
樋口 浩和 京都大学, 農学研究科, 助手 (50303871)
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Keywords | アグロフォレストリー / ハイドローリックリフト / 根系 / マンゴー / トウモロコシ / ラッカセイ / 茎流量センサー |
Research Abstract |
東北タイ・コンケン大学農場において、マンゴー植栽列下に、平成15年度はトウモロコシを、平成16年度はラッカセイを栽培し、ハイドローリックリフトのこれら作物への影響を調べた。なお、平成15年度の実験は平成16年1〜3月に行ったので、ここに一緒に報告する。実験は乾季に入り土壌水分が減少する時期に行った。平成16年の実験では、通常の混植を行った区域とマンゴーの側根を切断しラッカセイに影響を与えないようにした区域を設定した。 マンゴーの側根に装着された茎流量センサーにより、何れの実験期間もハイドローリックリフト現象が生じていることが確認された。トウモロコシの実験では厳しい水ストレスのために、子実はほとんど成熱しなかった。場所による生育に差異が見られマンゴーの樹列から遠いトウモロコシほど物質生産量が高かった。ただし、日射量分布とトウモロコシ物質生産量分布の間には有意な関係は見られなかった。このことから、トウモロコシでは日射量による影響に比べ樹木と作物の水分競合による影響が圧倒的に大きく、物質生産量は主に水分状態によって決定されたものと判断された。一方、ラッカセイの物質生産量は日射量が多いところでは高く、少ないところで低かった。またこマンゴーの根を切断しない自然条件下の混作区域と根を切断した区域のラッカセイの物質生産量に有意な差は見られなかった。このことから、ラッカセイでは、灌水停止期間が短く、トウモロコシに比べ耐乾性が強かったために、日射量が物質生産に与える影響が水分条件による影響を優越したと考えられた。 本実験から、トウモロコシのような水分要求量が大きい作物では混作によって樹木との水分競合が顕著に生じ、物質生産情動が阻害されること、それに対しラッカセイのように葉面積の比較的小さい作物では、昼間の水分競合による作物の水ストレスが夜間のハイドローリックリフトによって緩和される可能性があることがわかった。
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Research Products
(1 results)