2003 Fiscal Year Annual Research Report
新機能包材のための微細孔ガス透化モデル構築と食品包材の熱特性の解明
Project/Area Number |
15380177
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | National Food Research Institute |
Principal Investigator |
中村 宣貴 独立行政法人食品総合研究所, 食品工学部, 研究員 (50353975)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 武夫 独立行政法人食品総合研究所, 食品工学部, 室長 (40353974)
|
Keywords | 微細孔 / ヒートシール / ニラ / MAP / 鮮度保持 |
Research Abstract |
ミクロン単位の大きさの孔を開けた微細孔フィルムによる包装は、青果物の呼吸量に合わせて孔の大きさと数を調整できるために、ニラをはじめとする多くの青果物で鮮度保持効果が認められている。しかし微細孔フィルムの利用においては、あらかじめフィルムに加工が必要であり、価格が高くなること、水滴の付着によりガス透過度が低下することなどが指摘されてきた。 青果物をフィルムで機械包装する際に、袋のシール部に非シール部分を残し、その結果生じる微細な空隙でガス透過性を調整する簡易なMAPとしてパーシャルシール包装を開発した。厚さ25μm、大きさ85mm×600mmのOPP袋で、シール幅を4mmとして、0.4mmのシール部と0.6mmの非シール部を繰り返し、袋あたりの空隙数を600ヶ所とするパーシャルシール包装の特性ならびにニラの鮮度への影響を検討した。 袋のガス透過度は、酸素で4,110ml/m2・24hr・atm、二酸化炭素では9,3004,110ml/m2・24hr・atmであり、完全シール包装に比べて酸素は65%、二酸化炭素は41%増大した。ニラをパーシャルシール包装により20℃で5日間貯蔵した結果、袋内の酸素濃度は約5%、二酸化炭素濃度は約11%となり、糖およびアスコルビン酸が高く保持され、葉の黄化および腐敗の発生も著しく抑制された。本包装法では、10〜25℃の貯蔵温度において二酸化炭素濃度の変動が小さく、また、連続して機械包装した袋間の二酸化炭素濃度のばらつきも小さく、袋内の二酸化炭素が高濃度で安定する特徴を示した。夏季の模擬流通条件下でも、現行法に比べて高い鮮度保持効果が認められたことから、パーシャルシール包装はニラの低コストなMAPとして実用的な方法であると考えられた。
|
-
[Publications] 鈴木芳孝, 岡林秀典, 石川豊, 今堀義洋, 上田悦範: "新簡易包装(パーシャルシール包装)によるニラの鮮度保持技術の開発"日本食品保蔵科学会誌. 29・3. 141-146 (2003)