2005 Fiscal Year Annual Research Report
GAを応用した気団変質逆解析による陸域二酸化炭素ソース/シンクの広域マッピング
Project/Area Number |
15380180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
町村 尚 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30190383)
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Keywords | 陸域二酸化炭素ソース / シンク / インバースモデル / メソスケール / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
本研究はインバースモデルによって大気二酸化炭素濃度観測値から陸域二酸化炭素ソース/シンクをメソスケールでマッピングすることを目的とし,その手法開発をおこなう。平成17年度は,大気二酸化炭素濃度観測と遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた逆問題解析手法によって,近畿地方の月別二酸化炭素ソース/シンク強度のマッピングを試み,手法の有効性と問題点の検討をおこなった。IRGAによる大気二酸化炭素濃度の定点連続観測は,キャリブレーション用標準ガス配管の不良などによって最大20日程度の欠測が発生したものの,概ね安定した測定がおこなえた。問題点として,標準ガス濃度のメーカー出荷検定値に誤差が含まれ,大気濃度測定値の絶対値に測定誤差が残留した。対象領域(126km×126km)を42×42(3km×3kmメッシュ)に分割し,各領域のソース/シンク強度推定を試みた。ここで各領域の強度をGAにコーディングすることは問題探索空間を拡大するだけでなく,大気濃度観測点へ到達する気団の通過経路によって寄与が低いメッシュの推定を困難にすることがわかった。このため,土地利用ごとに与えたソース/シンク強度を遺伝子にコーディングする方法を考案し,これによる推定をおこなった。冬季,夏季ともに,市街地のソース強度が最も大きく,植生域は相対的に市街地よりシンク側に推定されたが,それらの絶対値は不正確であった。この原因として,前述の大気濃度観測誤差と,計算領域外のバックグラウンド大気濃度設定の問題が考えられる。土地利用間のソース/シンク強度の大小関係は正しく,また常緑樹林よりも落葉樹林のソース/シンク強度季節変化が大きいなど,相対的なソース/シンク強度は推定できた。今後の課題として,ソース/シンク強度の時間変化の考慮,既知のポイントソースの考慮,計算速度向上と情報圧縮によるグローバル最適解の導出などが挙げられる。
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