2003 Fiscal Year Annual Research Report
健康上有利な多価不飽和脂肪酸を生合成するウシの効率的生産方法の開発
Project/Area Number |
15380196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 匡 近畿大学, 先端技術総合研究所, 講師 (10322265)
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (20298938)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (70192739)
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Keywords | ω3脂肪酸不飽和化酵素遺伝子 / α-リノレン酸 / ウシ初代繊維芽細胞 / stableな遺伝子導入 / 初期G1期細胞 / 初期G1期細胞 / リポーター遺伝子発現 / Ki-67タンパク質 |
Research Abstract |
哺乳動物が有さない脂肪酸不餌和化酵素遺伝子を新たに導入・発現させることで、動物、特にウシの脂肪に多価不飽和脂肪酸を豊富に含有させることを目的に、本年度は以下の研究を行った。 1.ω3脂肪酸不飽和化酵素遺伝子(fad3)の取得。陸生植物で最もα-リノレン酸(18:3n-3)含量の多いアマの幼弱種子からfad3 cDNAを取得した。その結果、既知のfad3に特徴的な小胞体リテンションシグナルおよび3個のヒスチジンクラスターを有する2種のcDNAが得られた。これらcDNAを酵母に導入し、培養して酵母全脂質の脂肪酸組成を調べたとことろ、18:3n-3の新規生成が観察された。この結果より、得られたcDRAをアマfad3とした。現在、ウシ繊維芽細胞に導入し、その機能的発現を検討している。 2.ウシ初代繊維芽細胞へのstableな遺伝子導入。染色体に遺伝子導入された初代培養細胞の効率的な獲得方法を検討した。その結果、リポーター遺伝子(Pβ-act/luc+/IRES/EGFP/neo^r)を導入用試薬で導入し、G418耐性かつEGFP陽性細胞群を選択したところ、stableな遺伝子導入細胞が効率よく獲得できた。現在、多数の遺伝子導入細胞群を保存している。 3.ウシ体細胞による再構築胚の作製。脂肪酸不飽和化酵素遺伝子導入細胞による体細胞核移植胚の効率的作製を目的に、クローン技術の向上を検討した。最近、初期G1期細胞を用いると再構築した体細胞クローン胚は、受卵雌への移植後の個体発生率が高いことが報告された。このため、特定の細胞周期にあるウシ初代培養細胞の特徴を調べるため、上述のリポーター遺伝子導入細胞を用いて、特にG0期およびG1期細胞におけるレポーター遺伝子の発現パターン、および核の活性化状態を調べるためKi-67タンパク質の挙動を調べた。G0期および初期G1期細胞では、リポーター遺伝子の発現が抑制されており、Ki-67タンパク質も検出されなかった。しかしながら、TUNEL assayより、G0期細胞にはアポトシス細胞が多く含まれていた。一方、後期G1期細胞では、遺伝子発現およびKi-67タンパク質が検出され、多くの遺伝子群がactiveであることが示唆された。また、初期G1期細胞による再構築胚は他の細胞より胚盤胞への発生率も高かった。これらより、核が不活性である初期G1期細胞の特徴の一部が明らかになり、リポーター遺伝子の発現パターンから再構築胚作製に適した初期G1細胞を選択できる可能性が示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K Saeki et al.: "Effects of gene expression in bovine embryos reconstructed with fibroblasts transfected with luciferase gene on the subsequent development."Reprod.Fert.Dev.. 16. 157 (2004)
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[Publications] 佐伯和弘ら: "ウシ卵子成熟用培地への不飽和脂肪酸の添加が体細胞核移植における細胞融合に及ぼす影響"近畿大学先端技術研究所紀要. 8(印刷中). (2004)