2005 Fiscal Year Annual Research Report
レトロウイルス誘発性グリオーマの発がん機構解明とグリオーマモデルの作出
Project/Area Number |
15380207
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (80214162)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
小野 悦郎 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (00160903)
|
Keywords | トリ / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 発癌機構 / レトロウイルス / トリ白血病ウイルス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
「トリのグリオーマso-called fowl glioma」はその原因と病態が不明であった疾患である。申請者は本疾患の国内初発例を発見し,本疾患がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルスの神経病原性とこれに関わるウイルスゲノムenvとLTRの機能を解明することである。1)昨年度の実績概要に記載したFGV接種鶏の小脳形態異常は精査の結果,異形成ではなく低形成であることを明らかにした。FGVが外顆粒層と分子層にある顆粒細胞に感染する結果,これら細胞がアポトーシスに陥ること,また,この細胞死が他の要素の構築を阻害する結果,小脳低形成が招来されることが示唆された。2)ALVのlong terminal repeat(LTR)はプロモーターとしてウイルス複製と組織特異的発癌に重要な役割を果たすことが知られている。ほとんどのALVがファブリキウス嚢由来リンパ腫を誘発するのに対し、FGVはグリオーマおよび神経周膜腫を誘発する。そこでFGVの神経病原性におけるLTRプロモーターの役割についてトランスジェニック(Tg)マウス技術を用いて検討した。得られた成績は以下の通りである。LTRの制御下でレポーター遺伝子を発現する8系統のTgマウスを作製し、reverse transcription(RT)-PCR法を用いてFGV LTRのin vivoでの転写活性を検索した。RT-PCR法により導入遺伝子は全身諸臓器で発現するが、特に大脳、小脳および精巣で高頻度に発現していることが明らかとなった。以上の成績から、FGV LTRプロモーターはin vivoでpan-specificプロモーターとして機能する一方、特に中枢神経系および精巣において導入遺伝子発現を誘導する能力を持つことが明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)