2005 Fiscal Year Annual Research Report
光線力学療法の獣医腫瘍治療への応用:適応法と有効性
Project/Area Number |
15380211
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤永 徹 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50181376)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 正裕 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (80260397)
|
Keywords | 犬 / 腫瘍 / 光線力学療法 / 蛍光色素 / BPD-MA / マウス担がんモデル / レーザー光線 / 腫瘍分布血管 |
Research Abstract |
本研究では、890nmの吸収波長の蛍光色素であるBPD-MA(カナダQLT杜より供与)を用いた光線力学療法(PDT)の小動物腫瘍治療への応用を目的に、マウス腫瘍を用いた基礎試験ならびにイヌ腫瘍治療に対する適応法と有効性を検討する基礎試験を行っている。本年度は以下の結果を得た。 1)BPD-MAを取り込ませた4種類の齧歯類腫瘍細胞に対するPDTの細胞障害作用を比較したところ、4種類の腫瘍細胞間に有意差が認められ、それらの細胞の光感受性の違いは、腫瘍細胞の大きさやコロニー形成効率などの腫瘍細胞の性質の違い、さらに感受性物質の濃度やレーザー照射量であるフルエンスなど、様々な要因に影響を受けていると考えられた。 2)KLN205およびLM8腫瘍の2種類のマウス腫瘍モデルにおけるBPD-MAを用いた細胞標的PDT(3時間間隔PDT)あるいは血管標的PDT(15分間隔PDT)による抗腫瘍効果、血流動態の変化および低酸素状態を総合的に評価した。15分間隔PDT群では細胞死が主に傷害を受けた腫瘍血管の周囲に認められた。以上の結果から、15分間隔PDT群に比べて3時間間隔PDT群の方が、PDT後速やかに腫瘍組織内が低酸素状態になり、細胞死へと進行した。一方、3時間間隔PDT群に比べて15分間隔PDT群の方が血流の遮断とそれによる抗腫瘍効果はより強いことがわかった。 3)頭部腫瘍の犬に対して、0.5mg/kgのBPD-MAを症例犬の静脈内に投与開始して15分後に690nmのレーザー光を照射する抗血管PDTを行った19症例の結果をとりまとめた。その結果、PDTは完全摘出手術が困難な部位に発生した犬の腫瘍に対して、抗血管PDT後に照射領域周辺に一過性の浮腫が認められたものの、特に治療の必要はなく、さらにこれまでの摘出手術に加えて、放射線療法や抗癌化学療法の付加治療を施した治療法に比べて好結果をもたらした。固形腫瘍の治療において抗血管PDTは重度な副作用もなく、非常に有効な治療法であると考えられた。血管造影CTは、抗血管PDTの適応症例の選択および治療効果の判定に極めて有用な方法であると考えられた。
|
Research Products
(5 results)