2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎線維化に係わるマクロファージ群の多面的機能の解明と治療戦術
Project/Area Number |
15380217
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山手 丈至 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (50150115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑村 充 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (20244668)
塚本 康浩 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (90305657)
熊谷 大二郎 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (70316016)
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Keywords | 腎線維化 / マクロファージ / LPS / シスプラチン / エナラプリル / タウリン / 線維原性因子 / ラットモデル |
Research Abstract |
本研究の目的は、腎線維化部位に出現するマクロファージ群の機能的特性を明らかにし、難治疾患である腎線維化の進行を軽減する方策を探索することにある。 本年度においては、腎線維化に出現するマクロファージ群の特性をより明確にするために、マクロファージ機能を亢進する因子であるリポポリサッカライド(LPS)を腎線維化モデルラットに投与し、出現するマクロファージ群と線維化の程度を評価した。用いた抗体は、浸潤マクロファージを認識するED1、固着マクロファージを識別するED2、活性化固着マクロファージを認識するED3、そして抗原提示能のある樹状細胞様マクロファージを識別するOX6である。用いた腎線維化モデルは、シスプラチンを単回投与することで誘発できる急性モデルである。その結果、LPS投与により、これら全てのマクロファージは増数し、特にED3とOX6陽性細胞はより著明に増加することが示された。また、LPS投与によりTGF-β1とTNF-αのmRNAが増加した。これらは線維原性因子として知られており、そのmRNA発現はマクロファージの増数と関連すると考えられた。しかし、LPS投与群と非投与群間では、形態計測で行った腎線維化の形成において違いはなく、LPSによるマクロファージの増加は腎線維化には深く係わらない可能性が示された。 また、本年度においては、シスプラチンを反復投与する慢性腎線維化ラットモデルを用いて、アンジオテンシン変換酵素阻害剤であるエナラプリルを投与する実験を試みたところ、線維化部位に出現するマクロファージはその数が減じ、さらに腎線維化が軽減されることが示された。また、抗酸化剤であるタウリンをシスプラチンの急性ラットモデルに投与したところ、同様にマクロファージ数の減少と腎線維化が軽減されることが分かった。これらの成果は、マクロファージ機能を抑制することは腎線維化の軽減に繋がる可能性を示唆する。 また、比較病理学的観点から薬物誘発性の肝線維化の病態と、鯨類のマクロファージに関しても解析を行った。
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Research Products
(5 results)