2005 Fiscal Year Annual Research Report
世界遺産白神山地ブナ原生林における遺伝的構成とその保持に関する研究
Project/Area Number |
15380219
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
牧田 肇 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80004464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新関 稔 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (40001490)
原田 竹雄 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (10228645)
赤田 辰治 弘前大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10250630)
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (90202978)
千田 峰生 弘前大学, 遺伝子実験施設, 助手 (30261457)
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Keywords | 世界遺産白神山地 / ブナ(Fagus crenata Blume) / 遺伝的多様性 / SSRマーカー / 毎木調査 / 親子関係 / 遺伝的距離 |
Research Abstract |
白神山地のブナ林は、ほぼ全ての個体が遺伝的に異なるという極めて高い多様性を持つ。このような遺伝的多様性が原生的な森林においてどのようにして維持されているのかを明らかにするため、世界遺産緩衝地域の周辺部に位置する高倉森に約1ヘクタールの毎木調査プロットを設定し、ブナ集団の遺伝子分析を行い、成木と幼木の類縁関係を調査した。これまでに、約0.9haの面積に生育する190本のブナの成木(胸高直径10cm以上)と63本の幼木(同10cm以下、かつ樹高30cm以上)を全て位置決定し、胸高幹周りを測定した。調査地の北側のブナ林(北集団)は幹密度が380本・hr-、胸高断面積が49.7m^2・hr-であった。また林床はチシマザサに深く覆われており、幼木が全く生育していなかった。一方、調査地の南側のブナ林(南集団)は幹密度が129本・hr-、胸高断面積が42.6m^2・hr-であった。63本の幼木は全て南側に集中しており、所々で十数個体の小集団を成していた。調査木のうち、サンプリングが出来なかった個体を除く116個体の成木及び53個体の幼木について5種類のSSRマーカーを解析した。その結果から成木と幼木の間の親子関係を調べたところ、両親の存在が推定された幼木が1個体、片親の存在が推定された幼木が13個体特定された。しかしながら残りの幼木39個体については全く親の存在が見あたらなかった。これは世代交代における遺伝子の交換がかなり広範囲に及んでいることを示唆するものである。また、幼木集団と成木の南集団、北集団との遺伝的距離を推定したところ、幼木はわずかながら北集団よりも南集団に近いことから、世代を経て集団間の遺伝的分化が徐々に進行している可能性が示唆された。広範囲に及ぶ遺伝子交換とそれによる多様性の維持には受精の自家不和合性や結実年の不連続性などが深く関係するものと思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Low expression of an endopolygalacturanase gene in apple fruit with long-term storage potential.2006
Author(s)
Wakasa, Y., Kudo, H., Ishikawa, R., Akada, S., Senda, M., Niizeki, M., Harada, T.
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Journal Title
Postharvest biology and technology 39
Pages: 193-198
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