Research Abstract |
昨年度の調査の結果,スズシロソウがZn・Cdの超集積植物であること,また,ヘビノネゴザは,重金属に加えて,Asの集積性も大きいことが示唆された.これらの結果に基づき,本年度は,1.水耕栽培したスズシロソウによるZn・Cdの吸収と体内での存在状態,2.As添加土壌に生育させたヘビノネゴザによるAs吸収について検討した.さらに,3.As汚染水を灌漑した水稲根圏におけるAsの動態と根圏土壌微生物群集の動態を解析した.得られた成果は,以下の通りである. 1.スズシロソウの生育は,Zn1000μM添加区でも低下せず,地上部含有率は20gkg^<-1>D.W.に達した.一方,地上部Cd含有率は,100μM区添加区で最大となり,4.Ogkg^<-1>D.W.に達した.葉に存在するZn,Cdは,それぞれ80%,55%以上が可溶性であった.これらのZn, Cdは無機態かリンゴ酸等の低分子量物質と結合していると推察された. 2.ヘビノネゴザは,As(III)またはAs(V)を500または50mgkg^<-1>添加した土壌を含む培地でも生育することができた.このとき,地上部As含有率は約500または1000mgkg^<-1>D.W.に達した. 3.5.0mgL^<-1>のAs(V)汚染水を灌漑した水稲根圏土壌溶液中As濃度を調べた結果,As濃度は根面に近いほど高く,As(III)のほうがAs(V)濃度よりも高いことが明らかとなった.また,栽培後土壌中のAsを存在形態別に分析した結果,水溶性,Mgイオン交換態,塩酸可溶性含量は,根面に近いほど高く,マスフローによるAs(III)の移行が推察された,また,根圏土壌のPLFAプロファイルを解析した結果,As毒性によって土壌微生物群集の多様性評価は低下し,正常な根圏機能が維持されていないことが確認された.
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