2004 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン分解性担子菌の有するシトクロームP450分子種の多様性と発現制御
Project/Area Number |
15380224
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
割石 博之 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50253513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 康介 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00192170)
北本 豊 鳥取大学, 農学部, 教授 (10032294)
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Keywords | 白色腐朽菌 / 芳香族化合物代謝 / リグニン分解 / シトクロームP450 / 分子種多様性 / 機能多様性 / 遺伝子構造 / 水酸化反応 |
Research Abstract |
生物と環境のかかわりに関与する遺伝子を「環境遺伝子」と呼ぶ。その代表例にシトクロームP450がある。この酵素は微生物、植物、動物などの生物界に広く分布し、しかも、多彩な分子種から成り、その機能はシグナル物質やホルモンなどのバイオレギュレーターの生合成ならびに外来脂溶性異物の代謝に関与しており、極めて多様性に富んでいる。それぞれのP450の機能解明は、創薬化学やバイオレメディエーションと深く結びついていくと言えよう。 2004年5月、JGIにより担子菌Phanerochaete chrysosporiumゲノム全塩基配列が公開され、148のP450遺伝子を有することが示唆された。しかし、公開されたP450遺伝子のアノテーションは不完全であり、機能ゲノミクスに用いるには不充分なものであった。そこで、ゲノム配列を徹底的に精査し、信頼性の高いPhanerochaete P450遺伝子構造データを獲得した。これにより、P.chrysosporiumゲノム中に、154のP450遺伝子が存在することを明らかにした。Saccharomyces cerevisiaeは初めて全塩基配列が解読された真核生物であるが、3つのP450しか有していない。また、Schizosaccharomyces pombeも2つのP450しか持っていない。 次いで、それぞれのP450遺伝子の機能を明らかにするための基礎的知見を収集すべく、P.chrysosporiumによる多岐にわたる基質の代謝産物を徹底的に同定し、阻害剤効果を精査することで、P450の関与する反応素過程の探索を行った。これにより、これまで報告のなかった32の反応にP450が関与することを見出した。塩基配列相同性から、これら反応に関与するP450遺伝子の推定を行った。2つの遺伝子については実際に活性型タンパク質の発現に成功し、機能同定を完了した。さらに、ホモロジーモデリングの手法を用いて、基質認識部位を形成する空間の推定構造を用い、機能の推定を進めた。これまでに、154のP450遺伝子のうち132について全長のcDNAを獲得しており、その配列解析から、本研究で行ったゲノムアノテーションの精度が高いことが示された。
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Research Products
(6 results)