2003 Fiscal Year Annual Research Report
BT菌殺虫タンパク質の進化分子工学による「タンパク質殺虫剤」への展開
Project/Area Number |
15380228
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 令一 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (30235428)
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Keywords | Bacillus thuringiensis / insecticidal protein / phage display / bio-panning |
Research Abstract |
<殺虫タンパク質上の受容体口合部位の特定> (1)結合阻害モノクローナル抗体による受容体結合部位の特定 既に作製してある「受容体アミノペプチダーゼNへの殺虫タンパク質の結合を阻害するモノクローナル抗体」のエピトープ(結合部位)を、1)殺虫タンパク質を端から欠失させた一連の欠失変異体、2)殺虫タンパク質の配列をスキャンして作った20残基ずつの合成ペプチド、3)様々な部位に立体障害を入れた殺虫タンパク質、を用いて解析した。その結果、アミノペプチダーゼN結合を阻害するモノクローナル抗体の結合エピトープは、殺虫タンパク質のドメイン3上にあり、しかもそれは582-589位のアミノ酸残基中に少なくとも一部が含まれ、アミノペプチダーゼNとの結合時には殺虫タンパク質のV582位は密着面部位にあることが示唆された。したがって、殺虫タンパク質上のV582位付近に受容体アミノペプチダーゼNの結合部位があると考えられた。 <ファージディスプレイ系による活性向上殺虫タンパク質の作製と選抜> (1)殺虫タンパク質ライブラリーの作製と受容体結合性向上殺虫タンパク質の選抜 殺虫タンパク質のDNAにエラープロンPCR(変異導入のためのPCR)で変異を導入し、2つの受容体結合ドメインに変異を持った殺虫タンパク質cDNAを作製した。次に、これをファージ上に発現させて変異殺虫タンパク質のライブラリーを構築した。受容体をコーティングしたアッセイプレイトにファージ溶液を反応させ、受容体に結合性の高い殺虫タンパク質変異体を発現したファージをスクリーニング操作自体は機能した。しかし、殺虫タンパク質を発現するファージはwild typeファージよりも大腸菌に対して毒性が強く、幾つかの操作の過程で、結果的に遺伝子が脱落したファージが増殖し、受容体に結合性が向上した殺虫タンパク質変異体を発現したファージを分離することが出来なかった。
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