2003 Fiscal Year Annual Research Report
高活性長期持続性経口抗糖尿病薬としてのバナジウムおよび亜鉛錯体の開発研究
Project/Area Number |
15390018
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20278443)
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Keywords | 糖尿病 / バナジウム錯体 / 亜鉛錯体 / インスリン様作用 / 脂肪細胞 / スペシエーション / 国際研究者交流 / ハンガリー、ドイツ |
Research Abstract |
これまでの研究成果にもとづいて、本年度はインスリン様作用を示す錯体をまず合成した。バナジル錯体の合成には、ピリドン、ピリジン-N-オキシド、ピコリン酸およびイミダゾール誘導体を配位子に用いた。一方、亜鉛錯体の合成には、カルニチンベタイン、乳酸、キニン酸およびアスコルビン酸を配位子に用いた。これらの錯体は、ラット脂肪細胞を用いるインビトロインスリン様活性評価ではいずれも高活性を示した。 錯体の実験糖尿病動物への投与法と体内への吸収性を予測するために、錯体のスペシエーション(化学種形態別分析)を検討し、血中において錯体は血清中の低分子化合物とternary complexを作ることが分かった。一方、血清タンパク質の大部分を占めるアルブミンとバナジルイオンとの結合を円二色性スペクトル(CD)法を用いて基礎的に研究し、バナジルイオンはアルブミン中のシステイン-34に結合していることを明らかにした。本CD法は、錯体とアルブミンなどのタンパク質との結合性を研究するには極めて有効な機器であることが分かったため、現在、種々の錯体とアルブミンなどの血清タンパク質の結合様式に関して研究を展開している。 放射性V-48を用いて4価および5価バナジウムイオン溶液を健常ラットに投与すると、非放射性キャリアーを加えない場合と加えた場合では、V-48の体内分布が大きく変化する新しい事実を見出すことができた。キャリアフリーではV-48の大部分は肝臓に集積するのに対し、キャリアーを加えると骨や腎臓に集積しやすくなることが分かった。この結果は、キャリアフリーでは、V-48はトランスフェリンに結合し肝臓に集まり、一方キャリアーが存在するとアルブミンにも結合し全身に分布することを示唆した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Akira Kotoh: "Oxovanadium complexes of N-substituted 3-hydroxy-2-methyl-4(1H)-pyridinones : Synthesis, spectroscopic characterization, and the insulin-mimetic activity"Heterocycles. 60・5. 1147-1159 (2003)
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[Publications] Erzsebet Kiss: "Chemical speciation insulinomimetic VO(IV) complexes of pyrine-N-oxide deriratives : binary and ternary systems"J.Inorg.Biochem.. 95. 69-76 (2003)
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[Publications] Yutaka Yoshikawa: "Anti-diabetic effect of Zn(II)/ carnitine complex by oral adiministration"Chem.Pharm.Bull.. 51・2. 230-231 (2003)
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[Publications] Yoshitane Kojima: "Insulinomimetic zinc(II) complexes with natural products : in vitro evaluation and blood glucose lowering effect in KK-A^y mice with type 2 diabetic mellitus"Chem.Pharm.Bull.. 51・8. 1006-1008 (2003)
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[Publications] Hiroyuki Yasui: "Specific birding of vanadyl ion (VO^<2+>) with thiolate of the cysteine-34 residue in serum albumin, demonstrated by CD spectroscopy and kinetic property"Chem.Lett.. 32・11. 1032-1033 (2003)
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[Publications] Jessica Gatjens: "A new family of insulin-mimetic vanadium complexes derived from 5-carboalkoxypicolinates"Chem.Eur.J.. 9. 4924-4935 (2003)
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[Publications] 桜井 弘: "ESRの技法-バイオサイエンスの電子スピン共鳴"日本学会事務センター. 195 (2003)