2004 Fiscal Year Annual Research Report
セカンドメッセンジャーとしての活性酸素の役割の確立
Project/Area Number |
15390027
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
黒瀬 等 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (10183039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 弘幸 九州大学, 薬学研究院, 助手 (20346810)
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Keywords | NFAT / Gタンパク質 / アンジオテンシン受容体 / MAPキナーゼ / 心臓 / 線維化 / 肥大 / 活性酸素 |
Research Abstract |
活性酸素はこれまでの細胞を傷害する作用の他に細胞内のメディエータとして働きうると提唱されてきた。そこで、ラット新生仔心室筋および心筋線維芽細胞を用いて検討を行った。心室筋細胞をアンジオテンシンIIで刺激すると、3種のMAPキナーゼが活性化された。このうち、JNKとp38MAPKは活性酸素に依存して活性化されたのに対し、ERKの活性化は活性酸素産生を阻害しても影響を受けなかった。そこで、JNKを例に、アンジオテンシン受容体刺激がどのような経路でJNK活性化を引き起こしているのか詳細に検討した。その結果、三量体Gタンパク質のG_<12>ファミリーに属するG_<α12>とG_<α13>がアンジオテンシン受容体によって直接に活性化され、続いて低分子量Gタンパク質RhoさらにRacが活性化され、NADPHオキシダーゼ活性が増加し活性酸素産生が促進することが明らかになった。活性酸素産生の阻害はアンジオテンシン受容体を介した心肥大応答に関与していたことから、活性酸素がJNKおよびp38 MAPKの活性化を制御することで関節的に心肥大応答に関わっていることが示された。一方、心筋の線維芽細胞は、サイトカインなどの産生を引き起こし心臓の線維化に関わっているとされている。線維芽細胞をアンジオテンシンで刺激すると、活性酸素依存性に転写因子NFATの転写活性が促進された。しかし、NFATの核内への移行には活性酸素は関与していなかった。詳細な解析を行い、G_<α12>とG_<α13>を介して産生した活性酸素がJNKの活性化に関与していること、またJNKはNFATが働く際に必要な他の転写因子の活性化を引き起こしていることが明らかになった。これらの結果から、G_<12>ファミリーに属する三量体Gタンパク質が活性酸素産生を制御していること、さらに活性酸素がMAPキナーゼとくにJNKの活性化に関与していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)