2005 Fiscal Year Annual Research Report
非ウィルスベクターによる遺伝子治療を指向した新規DNAの分子設計
Project/Area Number |
15390034
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
紙谷 浩之 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10204629)
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Keywords | 外来DNA / 外来遺伝子発現 / 遺伝子修復 / 核内動態制御 |
Research Abstract |
今年度は、外来DNAの核内動態制御を検討した。 (1)レポーター遺伝子を発現するプラスミドDNA量の核内動態制御の検討 まず、外来DNA量の減少を阻止する試みとして、複製型プラスミドを検討した。本研究ではモデルとしてヒト細胞内で複製するルシフェラーゼ遺伝子プラスミドを構築して、HeLa細胞に導入した。その結果、複製型プラスミドは非複製型プラスミドに比較して、ルシフェラーゼ遺伝子発現の上昇が観察された(Kamiya et al.,submitted)。従って、適切に複製を制御する技術の実用化により、外来DNA量を一定に保つことの可能性が示された。 また、ヒストンと相互作用することが知られている配列をプロモーターの上流に付加したプラスミドをマウスに導入した。その結果、ヒストンと相互作用することが知られている配列を適切な位置に導入することにより、ルシフェラーゼ遺伝子発現が上昇した(Fukunaga et al.,submitted)。従って、核内動態制御の鍵の一つが、ヒストン蛋白質との相互作用にあることが明らかとなった。 (2)遺伝子修復用DNAの核内動態制御の検討 相同組換えに関与するRad51蛋白質は、試験管内鎖交換反応において、一本鎖DNAよりも部分的に二本鎖となる一本鎖をよく認識することが知られている。そこで、部分的に二本鎖となる一本鎖を用いて遺伝子修復を行ったところ、さらに修復効率が上昇した(Tsuchiya et al.,submitted)。この効率は従来法(二本鎖PCR産物を用いた場合)の約20倍の値である。以上のことにより、DNA断片の核内動態制御を行うことにより、遺伝子修復効率の上昇が達成可能なことを明らかとした。
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