2005 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療を目指した基礎的研究:胚性幹細胞の肝細胞への分化と薬物代謝・排泄機能獲得
Project/Area Number |
15390047
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大森 栄 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70169069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 民秀 信州大学, 医学部附属病院, 助教授 (40209581)
佐々木 克典 信州大学, 医学部, 教授 (30170666)
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Keywords | 胚性幹細胞 / シトクロムP450 / サル / CYP3A8 / CYP3A66 / 肝細胞 / HNF-3β / 分化 |
Research Abstract |
サル胚性幹細胞(ES細胞)は、マウスES細胞の場合と同様にポリプロピレン製コニカルチューブで培養する方法により胚様体(EB)を作成した。分化は、コラーゲンIにてコートされたプレートに接着させ、さらに培養することにより行った。予備的な検討より、EB作成に用いる細胞の量により拍動率並びに肝細胞への分化の効率が異なることが示唆された。そこで、直径3cmのプレート1枚から5個のEBを作成した場合、ほぼ全てにおいて拍動が認められた。また、本条件にて作成したEBをプレートに接着培養後15および30日に総RNAを抽出し、RT-PCR法にて解析したところ、肝細胞マーカーのアルブミン(ALB)およびα-フェトプロテイン(AFP)のmRNAの発現が認められた。また、胆汁酸生合成の律速酵素であり、より成熟した肝細胞に特異的に発現することが知られているシトクロムP450 7A1(CYP7A1)のmRNAの発現も認められ、15日培養と比較して30日培養で発現量が増加していたことから、30日培養でより成熟した肝細胞に分化していることが示唆された。さらに、薬物代謝型分子種であり、主に肝細胞に発現することが知られているCYP1A1のmRNA発現はEB培養5日目から、CYP3A66は10日目から、CYP2C20、CYP2D17やCYP3A8は15日目から発現していた。なお、CYP3A8のmRNAはCYP7A1と同様、培養15日目よりも30日目の方が多く発現していた。また、ヒト胎児肝細胞に特異的に発現するCYP3A7と最も高い相同性を有する新規CYPをサルES細胞から分化した細胞より見出した。本CYPをCOS細胞に発現し、その性質を解析したところ、テストステロン6β-水酸化およびデヒドロエピアンドロステロン16α-水酸化活性を有することが明らかとなった。以上の結果より、サルES細胞は、今回用いた方法により肝細胞へ分化誘導されることが明らかとなった。また、ヒトHNF-3β cDNAを増幅し、ES細胞にて発現することが報告されているEF1αをプロモーターとする発現プラスミドを構築した。リポフェクション法にて導入することによりES細胞で発現することを確認したことから、現在肝細胞への分化に及ぼす影響について解析中である。
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