2004 Fiscal Year Annual Research Report
構造認識標的化プローブを用いた腫瘍新生血管傷害療法の確立
Project/Area Number |
15390050
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
奥 直人 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10167322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00381731)
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Keywords | リポソーム / 薬物送達システム / DDS / がん治療 / 新生血管 / 血管新生 / 腫瘍新生血管傷害療法 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
本研究は、腫瘍新生血管を標的とした効率的で副作用の少ないDDS製剤を開発することを目的としている。これまでに腫瘍新生血管に対する特異的プローブ(Ala-Pro-Arg-Pro-Gly)を開発し、効率的ながん治療法(腫瘍新生血管傷害療法)の提唱に到った。本研究ではまず腫瘍血管新生標的ペプチドの標的分子を蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(DIGE)およびTOF-MSにより解析し標的分子を探索し、新規分子標的および新規DDSプローブの開発を目指した。ヒト臍帯内皮細胞をVEGFおよび腫瘍培養上清(Conditioned Medium)により刺激し、未刺激と比較検討した結果、数十種のタンパク質の発現変動を見いだした,この中には新規のタンパク質も含まれており、現在更なる解析を進めている。また腫瘍新生血管傷害療法の改良と機構解明を目的に検討を行った。腫瘍新生血管に特異的に結合するAPRPGで修飾したリポソームに長期血中滞留性を付与するために、APRPGのPEG化脂質を合成した。体内動態の解析から、APRPG-PEG修飾リポソームはがん組織により多く集積することが明らかとなった。担がんマウスに蛍光標識リポソームを投与し、リポソームの腫瘍内分布を解析した結果、PEG修飾リポソームは血管外に漏出し集積するのみであったのに対し、APRPG-PEG修飾リポソームは血管内皮細胞に集積した。さらに抗がん剤アドリアマイシンを内封したリポソームにより抗腫瘍効果についての検討を行った結果、APRPG-PEG修飾ADMリポソーム投与群では顕著に腫瘍増殖を抑制し、体重減少を指標とした副作用もみられなかった。以上の結果から、腫瘍新生血管を標的とするがん治療が有効であり、APRPG-PEG修飾リポソームは腫瘍新生血管傷害療法のDDSキャリアとして有用であることが示された。
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Research Products
(7 results)