2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症・神経損傷モデルにおける寒冷による疼痛増悪の末梢生機構の解析
Project/Area Number |
15390070
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水村 和枝 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (00109349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 純 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00235350)
小崎 康子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (20126882)
片野坂 公明 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50335006)
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Keywords | 疼痛 / 寒冷 / 炎症 / 神経損傷 / 痛覚過敏 / 冷感受性イオンチャネル / 後根神経節細胞 / カルシウムイメージング |
Research Abstract |
「慢性リウマチの痛みや神経因性疼痛が寒冷により増悪する機構の解明のため、以下の実験を実施した。 ラット足根関節内へのcomplete Freund's adjuvant(CFA)投与により単関節炎を誘起し、投与後2週目の動物から後根神経節細胞を培養し、Caイメージングにより冷感受性を調べた。また、関わる冷トランスジューサー同定のためにTRPA1とTRPM8に対する特異的アゴニストであるマスタードオイル(MO)とメントール(MT)に対する感受性を調べた。10℃までの冷却に反応した細胞の割合は炎症群、健常群ともに約80%であったが、MO感受性細胞は炎症群では56%であり、健常群の20%に比べて有意に高く、またMT感受性細胞のほとんどがMO感受性であった。次にTRPA1活性の変化をみるために、MO感受性でMT感受性のない細胞の冷閾値を調べたところ、炎症群では18.4℃(n=12)であり、健常群の14.0℃(n=6)と比べて高い傾向があった。炎症状態ではTRPA1の活性化閾値温度が上昇していることが示唆された。 炎症時の感作機構の基礎的研究としてC線維受容器へのATPの作用を調べた。ATPは低濃度(10μM)ではP2X受容体を介し熱反応を抑制し、高濃度(1mM)ではP2Y受容体を介して促進した。また、ATPによる興奮はP2X、P2Y受容体アゴニストによる興奮よりも大きく、両受容体の共同作用などの可能性が考えられた。 さらに、炎症時に出現するメディエーター間の相互作用を明らかにするため、ブラジキニン(BK)とノルアドレナリン(NA)の相互作用を、C線維受容器の単一神経記録により調べた。BKに対する放電増加反応はNA前投与により増強され、NAによる放電増加反応はBKにより増強された。NA単独での効果は大変弱いが、他のメディエーターとの共同で大きな効果を発揮しうる可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Inhibitory, facilitatory, and excitatory effects of ATP and purinergic receptor agonists on the activity of rat cutaneous nociceptors in vitro2005
Author(s)
Yajima, H., Sato, J., Giron, R., Nakamura, R., Mizumura, K.
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Journal Title
Neuroscience Research 51
Pages: 405-416
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[Book] Molecular mechanisms of TRPV1-mediated thermal hypersensitivity. In Hyperalgesia : Molecular mechanisms and clinical implications(Eds K.Brune, H.Handwerker)2004
Author(s)
Tominaga, M., Numazaki, M., Iida, T., Moriyama, T., Sugiura, T., Togashi, K., Higashi, T., Murayama, M., Tominaga, T., Mizumura, K.
Total Pages
397
Publisher
IASP press(Seatle)