2003 Fiscal Year Annual Research Report
メタンフェタミンによる依存形成および精神毒性の分子機構
Project/Area Number |
15390080
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三木 直正 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40094445)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀和 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70273638)
郭 哲輝 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50126570)
平 英一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60263240)
入江 康至 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70303948)
|
Keywords | メタンフェタミン / 精神依存 / 興奮薬精神病 / Arc / Arcadlin / シナプス / 樹状突起 / MAP2 |
Research Abstract |
メタンフェタミンの反復投与により精神依存が生じ、さらに摂取を続けると興奮薬精神病が現れることが知られている。精神依存は、側座核において、LTPが生じるためと考えられる。側座核への、大脳、海馬や扁桃核からのグルタミン酸神経細胞と腹側被蓋野(VTA)からのドーパミン神経細胞との相互作用により、側座核にLTPが生じ、腹側淡蒼球を経て、精神依存を引き起こされると考えられる。我々は側座核で誘導される最初期遺伝子に着目し、その発現様式や相互作用する分子を解析することにより、精神依存および興奮薬精神病との関連性について検討した。ArcとArcadlinは共に痙攣刺激で誘導される最初期遺伝子であり、細胞質に存在するという点で独特である。痙攣刺激だけでなくメタンフェタミン・コカインの投与でも誘導される。Arcのメタンフェタミンによる誘導部位をIn situハイブリダイゼーションにより検討し、また抗体作成により、タンパク質の細胞内局在を検討した。その結果、Arcは特に前頭前野、線状体で強い発現誘導が起こり、蛋白質は樹状突起のシャフトおよびスパインに存在することが観察された。樹状突起におけるArcの機能を解析するために、海馬培養神経細胞の系で機能付加実験を試みた。その結果、Arc発現細胞においてMAP2(microtubule-associated protein2)の免疫原性の低下が観察され、細胞骨格系での機能が示唆されたがその作用機序は不明であった。一方、Arcadlinはプロトカドヘリンファミリーに属す接着分子であり、シナプス膜に存在し、N-Cadherinと会合することが免疫沈降法により観察され、シナプス接着の強化やシグナル伝達に関与していることが示唆された。ArcとArcadlinは、特にシナプス部位に顕著に見られる。前者はHMW MAP2の存在状態の変化を引き金に微小管骨格変化をもたらす可能性がある。後者はシナプス接着の可塑的変化に寄与する可能性が示唆された。
|
-
[Publications] T.Fujimoto, H.Tanaka, E.Kumamaru, N.Miki et al.: "Arc interacts with microtubule/MAP2 (microtubule-associated protein 2) and attenuates MAP2 immunoreactivity in the dendrites"J.Neurosci.Res.. (in press). (2004)
-
[Publications] G.Phillips^*, H.Tanaka, et al.: "Gamma-protocadherins are targeted to subsets of synapses and intracellular organelles in neurons"J.Neurosci.. 23. 5096-5104 (2003)
-
[Publications] H.Ichikawa, T.Fujimoto, E.Taira, N.Miki: "The accumulation of Arc (an immediate early gene) mRNA by the inhibition of protein synthesis"J.Pharmacol.sci.. 91. 247-254 (2003)