2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢社会に要求される排尿反射強化薬の開発を指向した排尿反射の中枢機序の解明
Project/Area Number |
15390082
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高濱 和夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80150548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白崎 哲哉 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30264047)
副田 二三夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (10336216)
田中 英明 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90106906)
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Keywords | 排尿困難 / 過活動膀胱 / Gタンパク質共役型内向き整流性Kイオンチャネル / 中大脳動脈閉塞モデル / マウス / 鎮咳薬 / クロペラスチン / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
Gタンパク質共役型内向き整流性K+(GIRK)チャネル活性化電流を抑制する物質は、脳梗塞に伴う過活動膀胱や排尿困難を改善することを明らかにした。そこで本研究ではGIRKチャネル活性化電流を抑制する物質の探索と作用メカニズム解明の一環として、δ-オピオイド受容体アンタゴニスト、ナルトリンドール(NTI)およびナルトリベン(MTB)の5-HTおよびNAdにより活性化されるGIRKチャネル活性化電流に対する作用を調べ、さらに、クロペラスチン(Clo)の5-HT活性化GIRKシングルチャネル電流に対する作用を解析した。加えて、マウス脳梗塞モデルを作成し、そのマウスの排尿反射機能に対するCloの作用を調べた。その結果、以下の成績を得た。1)NTIおよびNTBは単一背側縫線核ニューロンにおいて5-HT誘発GIRK活性化電流(I_<5-HT>)を、濃度依存的にかつ電位非依存的に抑制した。I_<5-HT>に対するIC_<50>はNTIが9.84×10^<-5>M、NTBが1.28×10^<-5>Mであった。これらの作用は選択的δ-受容体拮抗剤により抑制されなかった。2)細胞内をGTPγSで潅流したニューロンにおいて、NTIおよびNTBは、5-HTで不可逆的に活性化されたGIRK活性化電流を抑制した。3)これらの薬物は青斑核ニューロンにおいてNAdで活性化されたGIRK電流(I<NAd>)を濃度依存的に抑制した。4)I<NAd>に対するNTIのIC_<50>は8.44×10^<-5>Mで、I_<5-HT>に対するIC_<50>に近かった。5)Cloは、選択的GIRKチャネルブロッカーとは異なり、5-HTで活性化されたシングルGIRKチャネルの開時間には影響せず、閉時間を延長させた。6)マウスの脳梗塞モデルにおいて、Cloは、尿流率の減少および尿道抵抗の増加を改善し、過活動膀胱の指標を考えられる無排尿性収縮の発現回数を有意に抑制した。
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Research Products
(5 results)