2004 Fiscal Year Annual Research Report
病態時の血管・リンパ管新生を制御する液性・神経性因子の解析と分子標的治療への応用
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15390084
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 泉 北里大学, 医学部, 助教授 (90172999)
川村 道子 北里大学, 医学部, 助手 (00154104)
畑中 公 北里大学, 医学部, 助手 (00228470)
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 助手 (20296510)
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Keywords | AT1a受容体 / ノックアウトマウス / 腫瘍 / 血管新生 / ストローマ / VEGF |
Research Abstract |
従来のPG受容体の成果に加えて、アンギオテンシンIIの腫瘍血管新生増強作用を示すことができた。腫瘍接種モデルにACE阻害薬のlisinoprilを連日投与すると、腫瘍増殖、腫瘍依存性の血管新生を抑制することに成功した。AT1受容体拮抗薬のTCV-116の連日投与でも同様の抑制が見られた。腫瘍(腫瘍+ストローマ)組織のアンギオテンシン受容体の発現を調べるとAT1bおよびAT2の発現は全く認められないのに対し、AT1aの発現のみが顕著であった。さらにAT1a受容体ノックアウトマウスを用いて腫瘍増殖、血管新生に、アンギオテンシン1が重要であること示すことができた。しかも、腫瘍を接種したWT、AT1aノックァウトマウスにAT1受容体拮抗薬をさらに投与しても、ノックアウトマウスでは腫瘍増殖、血管新生が抑制されなかったことから、腫瘍細胞よりむしろ宿主のストローマを場としたAT1受容体シグナリングが重要であることを示すことができた。実際に役割を持つストローマ細胞はCD3、Mac-1ダブルネガティブのfibroblast様の細胞であり、AT1aシグナルがVEGFの産生を増大させていた。ストローマより分離培養したfbiroblastにアンギオテンシンIIを添加すると、VEGFの産生が高まり、その増大機構にはNFkBおよびPKCの情報伝達系が関与することが判明した。VEGF中和抗体、VEGF受容体キナーゼ阻害薬の投与で腫瘍増殖、血管新生が阻害されたことより、AT1aシグナリングでup-regulateされたVEGFの役割が特定できた。さらに、別の実験でリンパ管新生の炎症性メディエーターの調節機構が示唆され、同受容体シグナリングがリンパ管性転移の標的となりうることが示せた。
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Research Products
(7 results)