2006 Fiscal Year Annual Research Report
病態時の血管・リンパ管新生を制御する液性・神経性因子の解析と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
15390084
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 講師 (20296510)
川村 道子 北里大学, 医学部, 助手 (00154104)
畑中 公 北里大学, 医学部, 助手 (00228470)
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Keywords | 血管新生 / 腫瘍 / プロスタグランジン / アンギオテンシン / mPGES-1 / VEGF / 放射線 / リンパ管新生 |
Research Abstract |
血管新生は、基底膜の分解から新生血管の形成に至る一連の生体反応であり、各種growth factorで増強されることが知られているが、プロスタグランジン(PG)の様なアラキドン酸代謝物、ブラジキニン(BK)、アンギオテンシンII(Ang II)のような血管作動性ペプチド、さらにカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)のような神経ペプチドも血管新生を増強することを明らかに出来た。慢性増殖性炎症の特徴を持つスポンジモデルにおける血管新生は、複数のメディエーターの細胞間クロストークのより制御されていることを明らかにした。腫瘍ストローマ組織の反応をミミックするこのスポンジ移植モデルと炎症性メディエーターの受容体を欠損するノックアウトマウスを用いて、腫瘍血管新生における宿主側のストローマ組織の役割を解析出来た。PG、BK、Ang IIはストローマ細胞を作用部位としてVEGFを誘導することにより、また知覚神経由来のCGRPは神経刺激時に軸索反射を介して遊離され、腫瘍血管新生を増強していた。ストローマの受容体シグナリングを遮断することが、抗血管新生療法のターゲットとなることが判明した。さらに、腫瘍血管新生に重要な役割を果たすストローマ組織の生成および機能をコントロールすることも、新しい抗血管新生療法になることが期待されることが判った。複数の抗血管新生療法の併用、あるいは抗血管新生療法とコンベンショナルな化学療法や放射線療法との併用などで有効性を高める工夫が期待される。リンパ管新生の生体内制御因子に関しては不明な点が多いが、今回の研究では、炎症組織におけるリンパ管内皮マーカーVEGFR-3の発現を調べ、その発現に対するCOX-2の関与について明らかに出来た。あわせて腫瘍接種モデルでも同様の成績を得ている。腫瘍および増殖性炎症ではCOX-2阻害薬がリンパ管新生の制御に有効であることが推測された。
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Research Products
(7 results)