2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390091
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
槙島 誠 日本大学, 医学部, 教授 (70346146)
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Keywords | 核内レセプター / 胆汁酸 / VDR / RXR / LXR / 胆汁うっ滞 / 遺伝子 / 代謝 |
Research Abstract |
核内レセプターと胆汁酸代謝との関連性の解明を目的とした本研究において本年度は次の成果を得た。 1.胆汁酸に反応する核内レセプターの活性化調節機構の解析において、二次胆汁酸によるVDRの活性化が、膜Na^+,K^+-ATPase阻害活性を有する強心配当体によって促進されることが明らかになった。膜シグナルと胆汁酸受容体との機能連関を示している。 2.FXR、PXR及びVDRなどの胆汁酸受容体のヘテロ二量体パートナーであるRXRのリガンド反応性を様々な合成リガンドを用いて検討した結果、ヘテロニ量体特異的なリガンドが存在することが明らかになった。未同定のRXRリガンドが生体内で胆汁酸受容体の機能を調節する可能性を示唆している。 3.オキシステロールや植物ステロールに反応する重要なコレステロール代謝調節因子であるLXRが、腸管粘膜細胞の増殖やがん化と関連するβ-カテニンの転写誘導活性を抑制することが明らかになった。食事性脂質と細胞増殖シグナルとの機能連関を示している。 4.総胆管結索による胆汁うっ滞モデルマウスを作成し、各種臓器における胆汁酸受容体の標的遺伝子発現を解析した。肝臓においてPXRの標的遺伝子MDR1の著明な発現誘導が見られたが、CYP3A11の発現の変化は認めらなかった。CYP2B10の発現は低下した。FXR標的遺伝子SHPの発現は低下し、SHPによる負の制御を受けるCYP7A1の発現も低下した。小腸粘膜においては、肝臓と異なりVDR及びPXRの標的CYP3A11の発現は増加し、MDR1の発現は低下した。腎臓において、VDRの骨代謝関係の標的遺伝子RANKLの発現が増加した。今後これらの発現変化に対する受容体アゴニストまたはアンタゴニストの効果の検討、及び受容体遺伝子欠損マウスでの検討が必要であるが、胆汁うっ滞等で病的に増加した胆汁酸が、核内レセプターや他の機構による複合的なメカニズムを介して、胆汁酸代謝関連の遺伝子やその他の遺伝子の発現変化を誘導し、胆汁うっ滞の病態を引き起こすことが示唆された。
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