2003 Fiscal Year Annual Research Report
発育期ウイルス性脳障害における神経病原性の発生機序に関する分子病理
Project/Area Number |
15390126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
筒井 祥博 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50073135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 聡 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (10242760)
土田 孝 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30317755)
小杉 伊三夫 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10252173)
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Keywords | サイトメガロウイルス / 脳障害 / 神経幹細胞 / 潜伏感染 / トランスジェニックマウス / 大脳スライス培養 / 持続感染 / 胎生幹細胞 |
Research Abstract |
発育期脳にウイルスが潜伏感染し、免疫不全などの何らかの刺激が繰り返されることにより再活性化し、神経細胞へ持続感染することによって脳障害が生ずると考えられる。私達はこの仮説をマウス脳にサイトメガロウイルス(CMV)を感染させ、180日という長期間飼育して潜伏感染状態とし、脳を取り出して大脳スライス培養をすることにより再活性化する実験モデルにより実証した。再活性化してくる部位が脳室壁の未分化神経系細胞であることから、潜伏感染する細胞が神経幹・前駆細胞であるという仮説を実証する試みを行っている。神経幹・前駆細胞のマーカーであるnestin遺伝子のプロモーターにレポーター遺伝子であるEGFPをつないだトランスジェニック(Tg)マウスを慶応大学の岡野教授から供与された。このnestin-TgマウスにMCMVを感染し、潜伏感染状態と考えられる比較的長期間飼育し、脳を取り出して神経幹・前駆細胞の培養(neurospheres)を行い、EGFPで光るneurospheresを感受性のある線維芽細胞と混合培養を行って再活性化する試みを行った。予備実験的であるが、活性化してくることが明らかになった。一方、MCMVの前初期(IE)遺伝子は宿主の転写因子に依存して細胞特異的に発現するが、私達は既にIE-promoterを導入したTgマウスを作成したが、このTgマウスからneurospheresをとり、発育期マウス脳へ移植したところ、再活性化することを明らかにした(Li et al., in press)。このIE-promoter Tgマウスから胎生幹(ES)細胞を樹立することに成功した。この細胞にCMVを感染しても感受性がないことが明らかになったが、分化へと誘導すると、IE-promoterが発現し、CMVに対して感受性を獲得することが明らかになった。さらに私達は、神経幹細胞へCMVの遺伝子をレトロウイルスベクターを用いて導入することに成功した。CMV遺伝子が神経幹細胞の分化にどのように影響を与えるか解析している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Li RY, Kosugi I, Tsutsui Y: "Activation of murine cytomegalovirus immediate-early promoter in mouse brain after transplantation of the neural stem cells"Acta Neuropathol (Berl). (in press). (2004)
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[Publications] Arai Y, Ishiwata M, Baba S, Kawasaki H, Kosugi I, Li R-Y, Tsuchida T, Miura K, Tsutsui Y: "Neuron-specific Activation of Murine Cytomegalovirus Early Gene e1 Promoter in Transgenic mice"Am J Pathol. 163(2). 643-652 (2003)
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[Publications] 筒井祥博, 小杉伊三夫: "サイトメガロウイルスによる脳障害の発生機序"感染・炎症・免疫. 33(3). 176-186 (2003)
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[Publications] 筒井祥博: "サイトメガロウイルスによる神経病原性"ウイルス. 53(1). 31-40 (2003)