2004 Fiscal Year Annual Research Report
マンソン住血吸虫の排泄系上皮細胞膜ポンプの生化学機構と薬剤抵抗性獲得における役割
Project/Area Number |
15390134
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 宏 弘前大学, 医学部, 講師 (90211945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長内 理大 弘前大学, 医学部, 助手 (30361009)
神谷 晴夫 弘前大学, 医学部, 教授 (70002079)
古岡 秀文 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (60238665)
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Keywords | マンソン住血吸虫 / 排泄系 / P-gp / MRP / エキノコックス / 薬剤抵抗性 / 扁形動物 / 蛍光性基質 |
Research Abstract |
ATP-binding cassette (ABC) superfamily分子は、細胞膜ポンプとして代謝副産物あるいは外来性物質の排出に重要な役割を果たしていると考えられ、数種の寄生虫においてもその存在が分子生物学的には確認されている。しかしながら、多細胞生物としての寄生虫では、その組織局在が不明であった。ABC分子に分類されるP-gp(P-glycoprotein)およびMRP(multi-drug resistance-associated protein)に注目し、その蛍光性基質となるresorufinやfluo-3を用いて、マンソン住血吸虫の各生活期について、これらの分子の表出組織と時期を検討した。その結果、P-gp/MRP両分子は、原始腎(protonephridium)すなわち排泄系上皮に局在し、蛍光基質を能動的に腔内に排出・集積することが確認された。P-gp/MRPの排泄系表出は、2週齢以降の成虫期でのみ確認され、セルカリアあるいはシストソミューラ期では見られなかった。同様の観察手技を多包条虫(エキノコックス)および原虫トリパノソーマ(Trypanosoma grosi)に応用し、これらでのP-gp/MRP表出の可能性を探った。多包条虫では幼虫期(原頭節)においてのみ、住血吸虫と同様の排泄管への蛍光基質の集積が確認され、トリパノソーマでは細胞への蛍光基質の取り込みが起こらなかった。これらの基質は単純拡散により寄生虫に取り込まれることを考えると、トリパノソーマではP-gp/MRPによる排泄が観察限界を超えて、早期に働いている可能性も残っている。上記の観察結果を確認するために、それぞれの基質に対する競合剤に虫体を前もって暴露したところ、蛍光基質の排泄系の集積は起こらなかった。このことから、寄生性扁形動物である住血吸虫とエキノコックスの特定の生活ステージにおいて、排泄系上皮にP-gpならびにMRP相同分子の表出があり、これらが薬剤を含めた外来物質の体外排泄に重要な役割を果たしていることが示唆されることになった。P-gpならびにMRP相同分子の分子生物学的な特徴づけに取り組んでいるが、現在までのところではまだ確認できていない。
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Research Products
(7 results)
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[Book] International Collaboration in Community Health2004
Author(s)
Jones, J.T., Degu, G., Mengistu, G., Wondmikun, Y., Sato, H., Kusel, JK
Total Pages
71-78
Publisher
Elsevier, B.V.