2004 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫多重感染宿主における樹状細胞分化と宿主T細胞の機能発現調節
Project/Area Number |
15390137
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 伸生 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10143611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 治彦 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90229625)
鈴木 高史 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70305530)
森田 明理 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30264732)
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Keywords | マンソン住血吸虫 / Plasmodium chabaudi / 樹状細胞 / Th1 / Th2 / サイトカイン / Treg細胞 / CD25 / IL-12 p40 |
Research Abstract |
主要研究課題2点の検討を進めた。第一にマンソン住血吸虫を先行感染させておくことによりネズミマラリア(Plasmodium chabaudi)に対して感受性であるA/Jマウスの致死率が変化するマウス実験系において、宿主樹状細胞の活性化プロフィールに如何なる変化が起こっているかを質的・量的に検討した。宿主樹状細胞活性化プロフィールをFACSによる細胞表面マーカー検索及びサイトカイン産生で比較検討したところ、A/Jマウス樹状細胞のCD8陽性分画比率が住血吸虫との多重感染下ではマラリア単独感染と比較して低下し、抵抗性であるB6マウスの樹状細胞とほぼ同一の表現型比率に変化していた。さらに樹状細胞のIL-12産生をRT-PCRにより半定量解析したところ、P.chabaudi単独感染A/Jマウスの樹状細胞が感染早期にIL-12をほとんど産生しないのに対して、多重感染A/Jマウスの樹状細胞はマラリアの感染早期に抵抗性であるB6マウスの樹状細胞と同等の産生上昇を示すように変化しており、B6と多重感染A/Jとは同様の樹状細胞表現型とサイトカイン産生パターンを示すことがわかった。 第二に多重感染環境下で宿主免疫を刺激する抗原に何らかの質的変異が生じた可能性を検討する目的で、Treg細胞応答をP.chabaudiの単独感染と住血吸虫との多重感染マウスの間で比較した。しかし両者間にはTreg細胞の量には差がないことをFACSにて観察した。さらにP.chabaudi単独感染で100%死亡するA/Jマウスに抗CD25抗体を投与してTreg細胞を除去した場合でも生存率の変化はなく、多重感染下のマラリア感染による死亡率の変化にはTregは関与していないと考えられた。 以上の結果より、住血吸虫との多重感染環境下のA/Jマウスにおけるマラリア感染感受性の変化には、少なくとも感染宿主の樹状細胞応答の変化が関係していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)