2005 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫多重感染宿主における樹状細胞分化と宿主T細胞の機能発現調節
Project/Area Number |
15390137
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
太田 伸生 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10143611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 治彦 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90229625)
鈴木 高史 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (70305530)
森田 明理 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30264732)
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Keywords | Schistosoma mansoni / Plasumodium chobaudi / Th1 / Th2 / Treg / サイトカイン / CD25 / FoxP3 |
Research Abstract |
寄生虫多重感染により宿主の生体防御機構に生じる変動をA/Jマウスのマンソン住血吸虫(S.mansoni)とネズミマラリア(P.chabaudi)重複感染モデルを用いて細胞免疫学的に検討した。A/JマウスはP.chabaudi感染により死亡するがS.mansoniとの多重感染条件下では死の転帰を免れCD8^+の樹状細胞分画が抵抗性系統であるB6マウス同レベルに低下していた。その機能的意義を調べるためにTh1/Th2分化に関わるCD80/86の発現を比較したが、脾細胞中の樹状細胞では多重感染マウスに特徴的な発現プロフィールは観察されず、CD8^+樹状細胞のマラリア抵抗性における意義は依然不明である。A/JマウスからCD25^+細胞に除去してもP.chabaudiによる感染死が回避できない一方で、住血吸虫感染を先行させてP.chabaudiに抵抗性を獲得したA/JマウスからTreg細胞を除去すると再び死亡することが観察され、Treg誘導動態を種々のTregパラメータを用いて詳細に観察した。指標としてFoxP3発現をFACSによる細胞内染色にて検討したところ、P.chabaudi感染の経過全般に亘り住血吸虫感染の有無に拘わらずFoxP3陽性細胞の頻度には差がなく、constitutive Tregの量的差異は認められなかった。CD4^+CD25^+FoxP3^-細胞の頻度はS.mansoni感染マウスの方が約50%増加していたが、これは住血吸虫感染によるTh細胞の活性化と末梢血における抗原刺激誘導性Tregとの区別が現時点で明らかではない。S.mansoniとの多重感染環境下ではA/JマウスのIL-10産生が上昇していたことから、FoxP3陰性のTregの誘導がA/Jマウスのマラリア抵抗性に関与していたことが示唆され、特にCD8^+Tregについての検討の必要性を考えたが住血吸虫感染A/JではCD8^+T細胞はむしろ半減していた。 以上の成績に基づき、A/Jマウスの宿主内環境ではS.mansoniとの多重感染宿主で樹状細胞分化に質的な変化が起こってエフェクターT細胞誘導に修飾がかかること、及びマラリアの感染抵抗性をある種のTreg細胞が誘導促進することが示された。このような樹状細胞分化の変化が防御的なTreg誘導に関連があるか否かは今後の課題として残されている。
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Research Products
(6 results)