2004 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌における細胞間シグナル伝達による病原性発現制御の解析
Project/Area Number |
15390140
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 徹 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (80235655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 栄二郎 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (40334750)
大谷 郁 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (30377410)
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Keywords | 病原細菌 / ウェルシュ菌 / 遺伝子発現制御 / DNAマイクロアレイ / 毒素 |
Research Abstract |
平成16年度の研究計画に基づき、ウェルシュ菌の細胞間シグナルをコードするvapABC遺伝子のアミノ酸配列をさらに詳細に解析し、これらの遺伝子のうちシグナル分子の産生に直接関わる遺伝子の同定を試みた。現在のところ、vapBの分泌シグナル配列中に他の細菌のフェロモンと類似の部分が存在し、この配列をもとに4から20アミノ酸のペプチドを合成し、これらをウェルシュ菌の培養上清中に加えてシグナルとして機能するかをスクリーニングしたが、はっきりとした活性は見いだせず、ペプチドに対して何らかの修飾が加わっている可能性が考えられた。ただし、vapABC変異株においては細胞間シグナルが消失していることから、この遺伝子がシグナル産生に関与していることは明らかであると考えられ、さらなる解析を進めている。 さらに、昨年度行ったDNAマイクロアレイを用いたVirR/VirSシステムやvapABC遺伝子による病原性発現解析の発展として、本年度は他の細菌とのシグナル伝達による病原性発現調節機構の解析を、すでに確立されたDNAマイクロアレイの手法を用い行った。具体的には腸管内で常在菌である大腸菌をウェルシュ菌と共存させて培養し、ウェルシュ菌の病原遺伝子発現に対する影響をDNAマイクロアレイにて解析した。しかしながらアレイを解析した結果、バックグラウンドが高く信頼性の得られないデータとなっており、二回の実験を行っても信頼性の高いデータは得られなかった。理由としては、大腸菌の培養上清を加えた際のRNA抽出に対する阻害物質などが影響し、品質の良いウェルシュ菌RNAが抽出できなかったことが原因として考えられた。 そこで、感染の際重要であると思われる宿主因子によるシグナルを解析するために、ヒト血清添加によるウェルシュ菌遺伝子発現への影響をマイクロアレイにて解析したところ、ウマ血清では変化がなくヒト血清特異的に影響をうける多数の遺伝子が同定された。これらにはシアリダーゼなどの病原遺伝子も含まれており、ヒトの血清中の因子がウェルシュ菌の病原性発現に特異的に作用することが示唆され、宿主-寄生体関係を調べる上で重要な知見が得られた。
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Research Products
(6 results)