2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウェルシュ菌ε毒素、α毒素の作用機構に関するラフトロジー的解析
Project/Area Number |
15390144
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岡部 昭延 香川大学, 医学部, 教授 (20093677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 栄治 香川大学, 医学部, 助手 (40333512)
宮田 茂 香川大学, 医学部, 助手 (90314913)
松下 治 香川大学, 医学部, 助教授 (00209537)
徳田 雅明 香川大学, 医学部, 教授 (10163974)
小林 良二 香川大学, 医学部, 教授 (00020917)
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Keywords | Clostridium perfringens / α毒素 / イプシロン毒素 / 脂質クラフト / 血小板凝集 / スフィンゴ糖脂質 / スフィンゴミエリン / セラミド |
Research Abstract |
ウエルシュ菌のε毒素は、MDCK細胞の細胞膜ラフトにイオン透過性の7量体を形成する。今回、ラフト構成脂質成分と7量体形成の関係について検討した。スフィンゴミエリンの減少は、毒素感受性を低下させ、スフィンゴ糖脂質の減少は、感受性を亢進させた。細胞外からガングリオシドG_<M1>を取り込ませた場合、毒素感受性は低下した。また、感受性の変化と7量体形成量はよく相関した。ε毒素はガングリオシドG_<M1>に結合しなかったことより、ラフトにおけるスフィンゴミエリンとスフィンゴ糖脂質の比が毒素の感受性に影響を与えると考えられた。次に、スルファチド、アシアロG_<M1>、ガラクトシルセラミド、N-アセチルノイラミン酸、N-アセチルノイラミニルラクトース存在下で感受性を調べた結果、スルファチド存在下で感受性が低下した。一方、細胞をシアリダーゼ処理した場合、感受性が亢進した。これらのことから、ラフト表面において陰性電荷の存在の増加が、毒素感受性を低下させると考えられた。 ラフトを破壊するコレステロール除去剤(methyl-β-cyclodextrin)で血小板を処理すると、α毒素による血小板凝集が著しく低下することが分かった。さらに、α毒素は主として血小板のラフト画分に検出された。一方、α-毒素による分解産物の一つであるセラミドに注目し、抗セラミド抗体存在下で血小板にα毒素を作用させた。その結果、抗セラミド抗体は、血小板凝集速度を低下させた。また、ラフトに親和性を持つ蛍光試薬(DiIC18)により血小板を標識し、α毒素を作用したところ、ラフトの凝集と思われるパッチ形成が観察された。以上より、α毒素は、血小板ラフトに結合し、セラミドを生成しラフトのclusteringを起こすとことが分かった。さらに、ラフトのclusteringにより血小板凝集のシグナル伝達に関与するタンパク質が活性化され血小板凝集を引き起こす可能性が示唆された。
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