2003 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインの造血、リンパ球形成における作用機構に関する研究
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15390160
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長澤 丘司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (80281690)
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Keywords | ケモカイン / ケモカイン受容体 / 骨髄 / ホーミング / 造血 / 幹細胞 / リンパ球 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
1.造血の場は、胎生期、ダイナミックに移動し、大動脈壁から胎児肝に移り、末梢血管を経て、骨髄に至る。CXCL12欠損マウス胎児の造血幹細胞数を機能的に定量したところ、正常マウスと比較して、胎児肝で著差なかったが、骨髄で著明に減少しており、末梢血では著増していた。次に、CXCL12欠損マウスの血管内皮細胞のみにCXCL12を発現させたところ、造血幹細胞の骨髄への定着が完全に回復した。CXCL12発現細胞は、胎児骨髄の血管に隣接して分布していた。以上より、血管内皮周囲のCXCL12が、発生過程における、末梢血管から骨髄への造血幹細胞のホーミングを支持することが明らかとなった。この研究は、造血幹細胞の生理的動態制御の分子機構の一つを明らかにしたと共に、CXCL12発現細胞が、長らく謎とされている造血幹細胞ニッチである可能性を示した。 2.始原生殖細胞も、発生過程でダイナミックに移動し生殖腺に至る。正常マウスと比較して、CXCL12欠損マウスの始原生殖細胞は、尿膜基部での出現、腸間膜での移動において著差は認められなかったが、生殖腺へのホーミングが三分の一以下に減少していた。以上より、CXCL12は、造血以外でも、発生過程における臓器への細胞のホーミングの制御に必須のサイトカインであることが明らかとなった。 3.CXCL12欠損マウス胎児の詳細な解析により、CXCL12は、Tリンパ球発生において胎児胸腺への移入後T前駆細胞の増幅に関与していることが明らかとなった。この機能は、CXCR4欠損細胞を移植したキメラマウスの解析により、成体胸腺においても確認された。 4.CXCL12の生理的標的細胞であるBリンパ球前駆細胞およびCXCL12産生細胞を可視化することにより、骨髄での、Bリンパ球前駆細胞の発生過程における特定のストローマ細胞(ニッチ)間の制御された移動を初めて明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Stumm, R., Zhou, C., Ara, T., Lazarini, F, Dubois-Dalcq, M., Nagasawa, T., Hollt, V., Schulz, S.: "CXCR4 regulates interneuron migration in the developing neocortex"J.Neurosci.. 23・12. 5123-5130 (2003)
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[Publications] Ara, T., Itoi, M., Kawabata, K., Egawa, T., Tokoyoda, K., Sugiyama, T., Fujii, N., Amagai, T., Nagasawa, T.: "A role of CXCL12/SDF-1/PBSF and its receptor CXCR4 in fetal and adult T cell development in vivo"J.Immunol.. 170・9. 4649-4655 (2003)
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[Publications] Ara, T., Nakamura, Y., Egawa, T., Sugiyama, T., Abe, K., Kishimoto, T., Matsui, Y., Nagasawa, T.: "Impaired colonization of the gonads by primordial germ cells in mice lacking a chemokine, stromal cell-derived factor (SDF-1)"Proc.Natl.Acad.Sci.USA.. 100・9. 5319-5323 (2003)
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[Publications] Ara, T., Tokoyoda, K.Sugiyama, T., Egawa, T., Kawabata, K., Nagasawa, T.: "Long-term hematopoietic stem cells require stromal cell-derived fadtor-1 for colonizaing bone marrow during ontogeny"Immunity. 19・2. 257-267 (2003)