2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝臓より新たに見出したCYP2C9 splicing variantの解析
Project/Area Number |
15390171
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
有吉 範高 千葉大学, 医学部附属病院, 助教授 (00243957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 伊都子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (00202929)
北田 光一 千葉大学, 医学部附属病院, 教授 (90110345)
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Keywords | 薬物代謝能の個体差 / CYP2C9 / alternative splicing / 脂肪肝 |
Research Abstract |
最終年度は、申請者らが昨年度までに発現に成功したsplicing variantの翻訳産物(SVP)を、野生型CYP2C9、日本人で代表的な多型CYP2C9.3と比較することで種々の機能解析を行った。発現系ミクロゾームを調製し、ウェスタンプロット解析を行ったところ、SVPは野生型およびCYP2C9.3にくらべみかけの分子量がわずかに小さい蛋白質として泳動され、8アミノ酸残基分短いとの推定と一致した。次に分光学的検討を行ったところ、SVPにもCYPに特徴的なCO差スペクトルが検出され、第五配位子にチオレートアニオンを有するヘム蛋白質として発現していると考えられた。そこで、触媒活性を有しているか検討する目的でCYP2C9の代表的基質薬物であるジクロフェナクとトルブタミドを用いて活性測定を行なった結果、野生型および多型酵素の活性の違いは従来報告されてきたものと一致したが、SVPは全く触媒活性を示さなかった。イントロンの一部挿入、エクソンの一部欠失により基質特異性が変化している可能性を検討するために、同じサブファミリーのCYP2C8およびCYP2C19の典型的基質ならびに、別のサブファミリーに属するCYP2D6およびCYP3A4の典型的基質に対する触媒活性を有しているか調べたが、いずれの薬物についても既知の代謝物を含め、代謝物と考えられるものは全く検出されず、以上の検討から、SVPは異物代謝酵素活性を有しないか、有しても薬物代謝にかかわる主要なCYP分子種の基質となるような薬物は代謝し得ないと考えられた。HAB研究機構より入手したヒト正常肝、脂肪肝8検体を用いてリアルタイムPCRを用いて、正常肝と脂肪肝で、野生型CYP2C9mRNAと、SVmRNAの量比に差が認められるか否かについて検討した。その結果、SVmRNAは全検体に検出され、興味深いことに正常肝では、常に野生型mRNAの方が多かったのに対し、脂肪肝3例中2例では、野生型よりもSVmRNAの方が多く検出された。
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