2005 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様増殖因子(IGF)と大腸前がん病変に関する分子疫学的研究
Project/Area Number |
15390204
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古野 純典 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70128015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 哲也 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60269074)
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Keywords | 大腸腺腫 / 大腸発がん / 高インスリン血症 / IGF / Cペプチド / 分子疫学 |
Research Abstract |
インスリン様増殖因子IGF-Iが大腸がんのリスクを高め、結合蛋白IGFBP-3が予防的である可能性が示唆されているが、定かではない。高インスリン血症は大腸発がんに強く関与していると考えられているが、インスリン自体はIGFの産生と作用を規定する重要な分子である。本研究では、大腸発がんにおけるIGFおよび高インスリン血症の役割を明確にすることを目的としている。大腸内視鏡検査がルーチンに実施されている職域集団において、血中IGF-I、IGFBP-3及びCペプチドと大腸腺腫との関連性に焦点を当てて研究を進めている。 研究対象は、大腸切除、大腸ポリープ切除、がんなどの既往を有する者及び糖尿病薬物治療中の者を除いた大腸腺腫589例と全大腸内視鏡検査異常なしの対照1437例である。血中IGF-IあるいはIGFBP-3と大腸腺腫との間には明らかな関連は見られなかったが、Cペプチド高値であることが大腸腺腫リスクの高まりと関連していた。4等分位で分類した場合の下位25%群に対する上位25%群の調整オッズ比は1.4(95%信頼区間1.0-1.8)であった。この高まりは、特に近位部で顕著であり、調整オッズ比は2.3(95%信頼区間1.4-3.7)であった。なお、調整オッズ比は、年齢、地域、喫煙、飲酒などの要因を調整したものである。この結果を受けて、高インスリン血症を背景とするメタボリック症候群と大腸腺腫との関連性を検討するために、大腸腺腫756例と対照1751例の症例対照研究をおこなった。腹囲85cm以上の日本の診断基準あるいは90cm以上のアジアの基準のどちらを用いても、メタボリック症候群と関連した大腸腺腫(特に近位部腺腫)リスクの高まりが観察された。
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Research Products
(12 results)