2006 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様増殖因子(IGF)と大腸前がん病変に関する分子疫学的研究
Project/Area Number |
15390204
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
古野 純典 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70128015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝上 哲也 国立国際医療センター研究所, 部長 (60269074)
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Keywords | 大腸腺腫 / 大腸発がん / 高インスリン血症 / IGF / Cペプチド / 生活習慣要因 |
Research Abstract |
インスリン様増殖因子IGF-Iが大腸がんのリスクを高め、結合蛋白IGFBP-3が予防的である可能性が示唆されているが、定かではない。本研究では、大腸発がんにおけるIGFおよび高インスリン血症の役割を明確にするとともに、IGF-IおよびIGFBP-3の血中濃度を規定する要因を明らかにすることである。昨年度までの研究で、血中IGF-IあるいはIGFBP-3と大腸腺腫との間には明らかな関連は見られなかったが、インスリン分泌量の指標であるCペプチド高値であることが大腸腺腫リスクの高まりと関連していることを観察した。 今年度は血中IGF-IおよびIGFBP-3の血中濃度を規定する要因について検討した。慢性肝炎・肝硬変有病者および糖尿病治療歴のある者を除き、合計3113名を解析対象とした。慢性肝炎・肝硬変有病者ではIGF-IおよびIGFBP-3が顕著に低値であることが分かったので除外した。IGF-IおよびIGFBP-3は肝臓で産生されるので当然のことであるが、これまでの研究では考慮されていなかった。肥満の指標としてはBMI、腹囲臀囲比および腹囲について検討したが、BMIがもっとも強くC-ペプチドと正に相関していた。多変量解析の結果、C-ペプチドがIGF-IおよびIGFBP-3と最も強い正相関を示した。BMIもIGF-IとIGFBP-3の両方と正の関連を示した。運動はIGF-IおよびIGFBP-3のいずれとも有意な関連を示さなかった。喫煙本数はIGF-IおよびIGFBP-3と負の関連を示した。飲酒量はIGF-Iとは負の関連を、IGFBP-3とは正の関連を示した。インスリンがIGF-IとIGFBP-3の産生を高めることが明確になったが、このことが腺腫発生を高める主要なメカニズムとは考えにくい結果であった。
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Research Products
(11 results)