Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 恭良 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40144399)
切池 信夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60094471)
朱 宝利 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30305619)
石川 隆紀 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50381984)
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Research Abstract |
外傷性ストレスが中枢神経系に及ぼす影響を解明し,そのストレス強度の客観的評価基準を策定するため,剖検例における種々の"致死的外因"による中枢神経系の変化に関し,ストレス反応性のショック蛋白,カテコールアミン類やコルチゾールを指標として分析したうえ,脳神経病理学的,神経化学・生理学的および神経精神医学的知見を総合的に評価した。 本研究では,まず,これまでに集積してきた中脳黒質神経細胞核内マリネスコ小体・ユビキチン陽性封入体に関する基礎的データを基盤として,脳組織標本について,脳幹部・大脳辺縁系(延髄・扁桃核・海馬など)および大脳皮質(特に運動野)の神経細胞,軸索あるいはグリア細胞のユビキチン免疫染色反応を免疫組織化学的方法により系統的に分析し,神経ネットワークとの関連をトポロジカルに検討した。その結果について,死亡者の年齢・性別,受傷部位・種類・程度,死因,生存時間やアルコール・薬物の影響などとの関連を統計学的に解析した。ついで,中枢神経系のユビキチン免疫染色反応と神経ネットワークとの関連を外因の種類別に分析し,ストレス反応に関するデータを集積した。同時に,脳組織中の他の免疫組織化学的指標(ショック蛋白S-100やグリア関連蛋白GFAPなど)および(2)脳脊髄液・血液中のアミン類(アドレナリン,ノルアドレナリンやドーパミンなど)あるいはセロトニンなどの神経伝達物質の濃度と中枢神経系のユビキチン免疫染色反応との関連性を検討するためのデータを収集した。それらと神経精神医学的ストレス強度の分析結果を対比的・包括的に検討し,外傷性ストレスの強度の客観的評価のための指標と判断基準を確立した。
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