2004 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変における免疫応答機序の解明と診断・治療法の確立
Project/Area Number |
15390238
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Nagasaki Medical Center |
Principal Investigator |
石橋 大海 独立行政法人国立病院機構, 長崎医療センター・臨床研究センター, 臨床研究センター長 (80127969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 稔 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター, 臨床研究センター, 先端技術研究部長 (40217906)
右田 清志 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター, 臨床研究センター, 免疫研究部長 (60264214)
小森 敦正 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター, 臨床研究センター, ウイルス研究室長 (50234901)
藤岡 ひかる 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター, 臨床研究センター, 形態研究部長 (00264226)
下田 慎治 九州大学, 大学院・病態修復内科学, 助手 (30279319)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 胆管障害 / 胆管上皮細胞 / 抗原特異的T細胞 / 予後予測因子 / 抗gp210抗体 / ミトコンドリア抗原 / ミトコンドリア抗体 |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)の病態形成の中心と考えられる免疫応答機序を解明し、診断・治療法の確立を目的として研究を行った。PBCの胆管上皮細胞障害に関する標的抗原の全貌は未だ明らかではないが、胆管細胞に発現する自己抗原に対する自己免疫機序が想定されている。一方、胆管は解剖学的に腸管内微生物に暴露されやすい部位にあることから、胆管細胞には、炎症、自然免疫、獲得免疫などに関連して多様な免疫制御機構が発達してきた可能性がある。そこで本年度は、ミトコンドリア抗原エピトープ(PDC-E2 163-17)特異的T細胞クローンとヒト培養胆管上皮細胞(BEC)を用いて、(1)BECの抗原提示細胞(antigen presenting cell : APC)としての機能、(2)BECのAccessory Cell (AC)としての機能について検討した。BECでは、抑制性second signalを伝える補助分子(PD-L1、PD-L2)の発現やprostaglandin-E2(PG-E2)などの抗炎症性液性因子の分泌を介して、T細胞の活性化を抑制する多彩な免疫制御機構を有することが示された。 一方、PBCには、長期間の経過観察でもほとんど進行しない予後良好な症例と、進行して肝不全に至る予後不良な症例とが混在するこが知られているが、両者を鑑別するために有用な血清マーカーは存在しない。PBCで陽性化する抗核膜孔蛋白抗体の対応抗原とされるgp210の測定系を確立した。抗gp210抗体はPBCに極めて特異的であった(特異性;100%と)。過去22年間の長期経過を観察したPBC患者71症例の血清を用いた検討で、抗gp210抗体は予後不良群で高率に陽性となり、PBCの長期予後を予測するための有用な血清マーカーであることを明らかにした。この結果は、別の集団の80症例の検体を用いた解析からも妥当性が確認された。抗gp210抗体を血清マーカーとして予後不良が予測される症例を対象とした新しい治療研究が可能になるものと思われる。
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Research Products
(7 results)