2005 Fiscal Year Annual Research Report
心血管病治療の新しい標的としての高レムナントリポ蛋白血症の臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
15390244
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久木山 清貴 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (00225129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅谷 健 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (40262654)
高野 一 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (20362064)
川端 健一 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (30345706)
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Keywords | 高脂血症 / 中性脂肪 / レムナントリポ蛋白 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
高齢者においては、虚血性心疾患と脳血管障害が重要な死因であり、これらの発症および再発を予防することが高齢化社会の活力を保つために重要である。そのためには動脈硬化の最大要因である高脂血症の治療が必要である。高脂血症の中で、高コレステロール血症は診断・治療法とも既に確立している。一方、高トリグリセライド血症に関しては、レムナント様リポ蛋白(Remnant-like lipoprotein particles;RLP)測定法を用いて、トリグリセライドに富むレムナントリポ蛋白が冠動脈疾患の発症・病態に重要な役割を有していることを最近我々は明らかにした。そこで今回の研究において、高レムナントリポ蛋白血症の脳梗塞の発症・病態への関与を検討した。 「方法」165名のメタボリックシンドロームおよび冠動脈疾患を既に有している症例を対象として、最大2年間追跡調査した。登録時に全例において頸動脈の粥状動脈硬化の質を高感度超音波装置を用いたintegrated backscatter(IBS)を測定することで定量的に評価した。 「結果」追跡調査期間に14人に脳梗塞が発症した。カプランマイヤー解析において、高レムナントリポ蛋白血症例(【greater than or equal】5.5mg/dl;n=67)は非高レムナントリポ蛋白血症例(<5.5mg/dl;n=98)に比べて脳梗塞発症の頻度が有意に高かった。COX hazard解析による多変量解析により、高レムナントリポ蛋白血症は将来の脳梗塞発症の独立した予知因子であることが明らかとなった。脳梗塞発症例においてはIBS値が有意に低く、破綻しやすいソフトプラークが多かった。血中レムナントリポ蛋白値とIBS値は有意な逆相関を示し、高レムナントリポ蛋白血症は頚動脈ソフトプラークの独立した危険因子であった。 「総括」高レムナントリポ蛋白血症が脳梗塞発症の独立した予知因子であることが明らかとなった。頚動脈におけるプラーク破綻が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)