2004 Fiscal Year Annual Research Report
本邦の多発性硬化症における病型別臨床及び分子免疫病態の比較解析
Project/Area Number |
15390271
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 一男 東北大学, 病院・助教授 (70280873)
中島 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50333810)
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Keywords | 多発性硬化症 / 脱髄疾患 / 視神経脊髄型MS / 通常型MS / オリゴクローナルバンド / 大脳白質病変 / Th1 / Th2バランス |
Research Abstract |
本邦の多発性硬化症(MS)の臨床病型として、病変が中枢神経内に播種する通常型MS(CMS)と視神経炎と脊髄炎のみを呈する視神経脊髄型MS(OSMS)がある。これらの病型における臨床及び免疫病態を比較解析した。 (1)自験MS症例における二次進行型MS(5.0%)は、いずれもCMSであり対麻痺と体幹失調を呈する症例が多かった。一方OSMS症例で二次進行型に移行した症例はなく、CMSと異なりOSMSの障害はattack-relatedだった。 (2)CD26,CD30はそれぞれTh1,Th2関連分子である。OSMS,CMSでは再発時の髄液中で対照群より可溶性CD26濃度が有意に上昇していた。可溶性CD30濃度は3群で差はなかった。今回の結果からはOSMSでも有意なTh1反応が起こっていることが示唆された。 (3)OSMS, CMSの剖検例においてCCR7とそのリガンド分子の発現を免疫組織化学法にて解析した。両群とも浸潤白血球の一部にCCR7が、またその周囲にリガンド分子が発現しており、炎症部位への遊走へのCCR7系ケモカインの関与がうかがわれた。 (4)OSMSの髄液をランダムペプチドを提示するファージライブラリーと反応させ髄液IgGの標的抗原を検索した。その結果common peptide motifの検出はまれであり、ヘルペスウイルスに相同な配列が高頻度に検出されたCMSと異なっていた。 (5)OSMS,CMSの再発時に増幅するT細胞クローンをCDR3 Spectratypingで解析した。CMSではVβ5.2の頻度が約3割と高頻度だったが、OSMSではこれより低かった。 以上の如く、OSMSはCMSと異なる病態であることが示唆された。
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