2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪毒性によるインスリン分泌障害・膵β細胞過形成障害の分子機構の解明
Project/Area Number |
15390285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺内 康夫 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40359609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 医員
江藤 一弘 東京大学, 医学部附属病院, 医員
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 助手
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
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Keywords | PPARγ / 中性脂肪含量 / インスリン分泌 / SREBP-1c / 高脂肪食 / グルコキナーゼ / IRS-2 / DNA microarray |
Research Abstract |
1.PPARγヘテロ欠損マウスで認められた膵島中性脂肪含量増加とインスリン分泌低下の分子機構の解明 脂肪の流入、脂肪合成、脂肪酸酸化に関わる遺伝子の発現をTaqman PCR法やNorthern blotにて定量的に検討したが、対照群と大きな差を認めず。PPARγヘテロ欠損マウスでは血清レプチンが高値であり、レプチン作用が亢進していた。膵島中性脂肪含量増加とインスリン分泌低下にレプチン作用が関与している可能性がある。レプチン作用を欠失したob/obマウス遺伝的背景では、PPARγヘテロ欠損により耐糖能がより悪化、インスリン分泌が著明に低下していた。膵島の遺伝子発現変化についてDNA microarray解析を進めている。 2.膵島でのSREBP1過剰発現に伴うインスリン分泌低下の分子機構の解明 膵β細胞由来の細胞株であるINS-1細胞にSREBP-1cをアデノウィルスベクターを用いて過剰発現させた系では細胞内中性脂肪含量は61%増加、細胞内インスリン含量やインスリン遺伝子の転写活性には大きな影響はないが、1mMグルコース存在下での基礎インスリン分泌は亢進し、10mMグルコース刺激に対する分泌応答は40%低下した。AMPKアゴニストであるAICARを低用量(300μM)で作用させると、ACC活性が低下し、脂肪酸合成が低下、脂肪酸酸化が亢進、細胞内中性脂肪含量が減少した。膵β細胞特異的SREBP-1c過剰発現トランスジェニックマウスは膵島の中性脂肪含量の増加、インスリン分泌低下と糖尿病発症を認めた。 3.高脂肪食負荷グルコキナーゼヘテロ欠損マウスで認められた膵β細胞過形成障害の分子機構の解明 チップ解析では高脂肪食負荷野生型マウス膵島と比し高脂肪食負荷グルコキナーゼヘテロ欠損マウス膵島で12490個中134個の遺伝子の発現が2倍以上に低下。中でもIRS-2の発現が18.4倍に著減しており、IGF1受容体、プロラクチン受容体など、IRS-2の情報伝達経路の遺伝子の発現も協調的に低下していた。この結果はRT-PCRおよびWestern blotにても確認された。IRS-2が高脂肪食誘導性膵β細胞過形成にも重要であることが示唆されたので、IRS-2ヘテロ欠損マウスに高脂肪食を負荷した。高脂肪食負荷IRS-2ヘテロ欠損マウスは高脂肪食負荷野生型マウスと同程度のインスリン抵抗性を呈したが、野生型マウスと比較してβ細胞量増加が障害されていた。以上より、高脂肪食誘導性膵β細胞過形成にグルコキナーゼとIRS-2が重要であることが示された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Terauchi Y, et al.: "Impact of genetic background and ablation of IRS-3 on IRS-2 knockout mice."J.Biol.Chem.. 278. 14284-14290 (2003)
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[Publications] Suzuki R, et al.: "Pdx1 expression in Irs2 deficient mouse β-cells is regulated in a strain-dependent manner."J.Biol.Chem.. 278. 43691-43698 (2003)