2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞特異的グリセロールチャネルの生理的意義の解明と糖尿病治療への応用
Project/Area Number |
15390287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90252668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
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Keywords | アクアポリンアディポース / アクアポリン9 / グリセロール / 糖尿病 / 脂肪分解 / 肥満 / PPARγ / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
現在、私たちがクローニングしたaquaporin adipose(AQPap)のノックアウトマウスの解析を行っている。10週令までの経時的な体重変化にはWTとKOとで有意な差は認めなかった。8週令において、摂食下および12時間絶食状態におけるメタボリックパラメーターを検討した。血中グリセロール濃度は、摂食下および絶食下において、ともにKOで有意に低値を示した(摂食下;WT277.3±23.9mM,KO178.2±38.5mM,P<0.05、絶食下;WT343.8±23.0mM,KO249.2±19.5mM,P<0.01)。血糖値は、摂食下では有意な差は認めなかったが、絶食下においてKOで著明に低値を呈した(摂食下;WT165.7±6.9mg/dl,KO158.2±7.5mg/dl、絶食下;WT121.8±5.3mg/dl,KO67.5±19.4mg/dl,P<0.05)。また、血中インスリン値や遊離脂肪酸(FFA)レベルは、両群間で差は認めなかった。さらに、低血糖状態において上昇するグルカゴンやコルチゾールの血中濃度を調べたところ、絶食下のKOは有意に高値を示していた(グルカゴン;WT320.8±9.2pg/ml,KO395.6±26.6mg/dl,P<0.05、コルチゾール;WT202.2±13.4ng/ml,KO241.0±8.9mg/dl,P<0.05)。一方、glucose tolerance testおよびinsulin tolerance testを試みたが両群間で差は認めず、また、骨格筋、肝臓および白色脂肪組織におけるインスリンシグナルをAktのリン酸化で評価したが、KOはWTと同程度にインスリンによるAktのリン酸化が観察された。 次に、絶食下における門脈血中グリセロールおよび脂肪組織グリセロール含量を定量した。門脈血中グリセロールは、末梢血中グリセロール濃度と同様にKOで有意に低値を示したが、脂肪組織グリセロール含量はKOで高値を示した(WT1.274±0.338mmole/mg,KO2.553±0.477mmole/mg)。 さらに、脂肪分解を誘発する選択的b3-adrenergic agonistであるBRL26830Aを腹腔内投与し、経時的に血中FFAおよびグリセロール濃度を検討した。血中FFAの上昇度は両群間に差は認めらなかったが、血中グリセロールの上昇は、WTが178.5±8.4%、KOが133.1±4.1%で有意に障害されていた(BRL26830A投与前の血中グリセロール濃度を100%とした時の変化率)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ouchi N, et al.: "Reciprocal association of C-reactive protein with adiponectin in bloodstream and adipose tissue"Circulation. 107・5. 671-674 (2003)
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[Publications] Kumada M, et al.: "Association of hypo-adiponectinemia with coronary artery disease in men"Arterioscl.Thromb.Vase.Biol.. 23・1. 85-89 (2003)
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[Publications] Kishida K et al.: "Disturbed secretion of mutant adiponectin associated with the metabolic syndrome"Biochem Biophys Res Commun. 306・1. 286-292 (2003)
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[Publications] Ouchi N, et al.: "Association of hypoadiponectinemia with impaired vasoreactivity"Hypertension. 42・3. 231-234 (2003)