2006 Fiscal Year Annual Research Report
同種造血幹細胞移植における移植片対腫瘍効果に関する基礎的研究
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15390309
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
森島 泰雄 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (20220056)
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Keywords | 移植片対腫瘍効果 / 移植片対宿主病 / 同種骨髄移植 |
Research Abstract |
目的: 非血縁者間骨髄移植におけるHLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1遺伝子型の不適合組み合わせと重症GVHDとの関連を解析することにより、重症GVHDに関与するHLA分子上の部位と置換アミノ酸を見出すことを目的とした。 方法: HLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1のDNA型があられた非血縁者間骨髄移植5210症例を対象にした。Cox regression modelsによる多変量解析法を使用した。 結果: 重症急性GVHDと有意な相関を示すHLA分子上の部位とアミノ酸の置換が、HLA-Aでは9番のTye-Pheの置換、あるいは116番のAsn-Aspの置換を有する症例において、HLA-Cでは、9番のTyr-Serの置換、77番のAsn-Serの置換、80番のLys-Asnの置換、99番のTyr-Pheの置換、116番のLeu-Serの置換、156番のArg-Leuの置換を有する症例において有意に重症急性GVHDの頻度が高かった。HLA-B、HLA-DRB1、HLA-DQB1、HLA-DPB1では有意な部位とアミノ酸の置換は認められなかった。 考察: 上記の部位は、9番、99番、116番がいつれもHLA分子上のbeta plate sheetに位置し、156番はalpha helixに位置していた。さらに、77番と80番はNK細胞受容体であるKIR2DLのリガンドであるHLA-Cの77番と80番に位置しており、T細胞受容体による関与あるいはNK細胞受容体による関与が考えられた。これら知見は、急性GVHD発症の機序だけでなく、同種移植における移植片対腫瘍効果の機序解明への道を開くものであり、これらを標的とする特異的細胞免疫療法開発の基礎データとして重要である。
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