2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胚性幹細胞からの造血幹細胞の分化誘導法の開発とその分化メカニズムの解析
Project/Area Number |
15390321
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 浩一郎 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50179991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河崎 裕英 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80278621)
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Keywords | ヒト胚性幹細胞 / 血液細胞 / 造血前駆細胞 / 胎児肝 / ストローマ細胞 / 再生医療 / 輸血医療 |
Research Abstract |
本研究計画においては、平成16年度は、胎生期造血の環境を再現することにより、ヒト胚性幹細胞からの血液細胞への分化誘導法の確立を目標としたが、以下に記述するように、マウス胎仔肝由来ストローマ細胞を用いた培養法を開発することにより、その目標を達成することができた(現在、論文準備中)。 ヒト胚性幹細胞を、胎生16.5日前後のマウス胎仔の胎仔肝より培養されたストローマ細胞と共培養すると、培養6日目頃より、ヒト胚性幹細胞は分化を開始し、培養12日目頃には、未分化な血液細胞が出現し、その数は次第に増加した。未分化な血液細胞数が最大となる培養16日目頃に、これらの未分化な血液細胞を採取し、エリスロポエチン、トロンボポエチン、interleukin-3、SCF (stem cell factor)、G-CSF (granulocyte colony-stimulating factor)、GM-CSF (granulocyte-macrophage colony-stimulating factor)存在下で、コロニー培養すると、混合コロニー、赤血球コロニー、顆粒球・マクロファージコロニーなど、様々な血液細胞コロニーを形成し、これらのコロニーからは、赤血球、好中球、マクロファージなどの種々の血液細胞が産生された。 以上の結果は、我々の開発したマウス胎仔肝由来ストローマ細胞を用いた培養法により、ヒト胚性幹細胞から、多能性造血幹細胞/前駆細胞を含む種々の造血前駆細胞が分化誘導され、さらにそれらの前駆細胞から多くの血液細胞への分化誘導されたことを示している。本分化誘導法を応用することにより、ヒト胚性幹細胞から、輸血用の赤血球、好中球、血小板の産生できると考えられ、ヒト胚性肝細胞を用いた新たな再生医療の可能性が示された。
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