2003 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム不活化機構の異常に基づく小児疾患レット症候群の病態解明
Project/Area Number |
15390330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久保田 健夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高坂 新一 国立精神・神経センター, 神経研究所, 部長 (50112686)
王 培玉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (10283201)
遠藤 和志 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (70176791)
後藤 雄一 国立精神・神経センター, 神経研究所, 部長 (20225668)
伊藤 雅之 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (50243407)
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Keywords | ゲノム不活化 / 小児疾患 / レット症候群 / DNAメチレーション / MeCP2 / ニューロン / シナプス / ノック |
Research Abstract |
【研究目的】 レット症候群は自閉症を主徴とする小児発達障害疾患で、MeCP2が責任遺伝子であることが近年判明した.MeCP2タンパクはメチル化された遺伝子DNAに結合し発現を抑制する。また生体内では神経細胞(ニューロン)で高い発現を示す.したがってレット症候群の病態は、MeCP2タンパク異常によるニューロン内でのメチル化遺伝子の発現抑制不全と想定され、この仮説を実証するために、以下の研究を行った. 【平成15年度の研究成果】 1)ノックアウトマウス神経培養細胞系の樹立とX染色体不活化現象の解析 レット症候群と同様の症状・経過を示すMeCP2遺伝子ノックアウトマウス(以下MeCP2マウス)を入手し、その大脳皮質を材料にニューロンの分散培養系を樹立した.ヘテロのメスマウスの分散培養系では、約半数のニューロンがMeCP2陽性、残りの約半数が陰性であった.この結果より、MeCP2発現していないニューロンでも死滅することはなく、大脳皮質においてランダムなX染色体不活化が起こっていることが明らかにされた. 2)ノックアウトマウスのニューロンとシナプスの形態的解析 ヒト患者の死後脳の観察ではシナプス形成不良が示唆されていることから、シナプス後終末マーカータンパク抗体による染色を行った。その結果、正常マウスとMeCP2遺伝子ノックアウトマウスのニューロン培養細胞の比較において、樹上突起100μmあたりのマーカータンパクのドット数に著明な差はみられなかった.これよりニューロンとシナプスに明らかな形成不良所見はないと考えられた. 【次年度の課題】 1)ノックアウトマウスのシナプスの機能的解析を行う.具体的には本年度の研究費で購入した倒立型蛍光顕微鏡システムを用いてMeCP2マウスのニューロンの成熟度の異常の有無を明らかにする. 2)RGLS法またはクロマチン免疫沈降法を用いて、ニューロン内で異常発現を呈するメチル化遺伝子を探索する.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Matsumura et al.: "Severe Prader-Willi syndrome with a large deletion of chromosome 15 due to an unbalanced t(15;22)(q14;11.2) translocation."Clinical Genet. 63・1. 79-81 (2003)
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[Publications] Shiraishi et al.: "Myelination state of a fetal case of Pelizaeus-Merzbacher disease : Immunopathological considerations."Annal Neurol. 54・2. 259-262 (2003)
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[Publications] Ida et al.: "Functional disomy for Xq22-q23 in a girl with complex rearrangements of chromosomes 3 and X."Am J Med Genet. 120A・4. 557-561 (2003)
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[Publications] Jo et al.: "Mutational Analysis of WASP Gene in Two Korean Families with Wiskott-Aldrich Syndrome."Int J Hematol. 78・1. 40-44 (2003)
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[Publications] 久保田健夫: "加齢・疾患とエピジェネティックス「神経疾患とエピジェネティックス」"現代医療. 35・5. 122-128 (2003)
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[Publications] Kubota et al.: "ICF Syndrome in a Girl with DNA Hypomethylation but without Detectable DNMT3B Mutation."Am J Med Genet. (印刷中).
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[Publications] 久保田健夫: "エピジェネティックスと疾患(佐々木裕之編) 3.エピジェネティックス機構に異常のある遺伝病"シュプリンガー・ファーラーク東京(印刷中).