2005 Fiscal Year Annual Research Report
重度の知的障害を呈する3疾患の病因遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
15390332
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
若松 延昭 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 部長 (60274198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 裕一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 遺伝学部, 室長 (70191343)
桑野 良三 新潟大学, 脳研究所・遺伝子実験部門, 助教授 (20111734)
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Keywords | 重度知的障害 / PLEKHA5 / Xq28 / 伴性劣性遺伝 / 脳萎縮 |
Research Abstract |
知的障害の病因遺伝子に関して、平成17年度は以下の研究実績を得た。 1.染色体6q16と12p12の相互転座、点頭てんかんと著明な精神運動発達遅滞が見られる症例 昨年までの研究により、12p12の転座断点部位にあるPLEKHA5が本症の病因遺伝子と考えられたので、同遺伝子の神経細胞における作用を解析した。方法:マウスNeuro2aにPlekha5に特異なsiRNAを導入し、20μMのビタミンA(RA)の存在下で3日間培養した。結果:神経突起の見られる細胞のうち、長径の2倍以上の突起が見られたのは約40%(siRNA投与のないコントロールでは約70%)であり、中等度の神経突起伸長障害が見られた。また、蛍光(pAcGFP)で標識したPlekha5をNeuro2aで発現させて、同蛋白質の細胞質局在を明らかにした。さらにPlekha5/pNTAPをHEK293細胞で過剰発現させた後に、ベクターに含まれるStreptavidin結合蛋白質を指標に、Plekha5をアフィニティー精製し、約130kDaの蛋白質を得た。 2.伴性劣性疾患と考えられ、重度の精神運動発達遅滞が見られる症例 昨年までの研究により、本症の病因遺伝子座をXq27-terに限局したので、本年度はFMR1、SLC6A8、PLXNB3の3種類の遺伝子ついて変異解析を行った。結果:症例に変異は見られなかった。 3.常染色体劣性遺伝の疾患と考えられ、出生後に著明な脳萎縮が進行する症例 昨年までの研究により、家系内の全症例に染色体2番長碗にあるSLC19A3にE320Qのミスセンス変異を認め、同変異が病因であると考えられた(正常コントロールには、同変異は認められなかった)。本遺伝子は膜蛋白質をコードしており、thiamineとbiotinのトランスポーターであると考えられている。そこで、本年度は同変異を含むSLC19A3を作製し、HEK293細胞に導入しトランスポーター活性を測定した。結果:SLC19A3(E320Q)は野生型に比べて、[^3H]thiamineの細胞内への取り込みが軽度減少していたが、[^<14>C]biotinはSLC19A3自体に細胞内への取り込み作用が見られなかった。以上、in vitroの実験では変異のあるSLC19A3の機能解析が不可能であり、現在、Slc19a3(E320Q)を脳神経で特異的に発現するトランスジェニックマウスの作製を行っている。
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Research Products
(4 results)