2004 Fiscal Year Annual Research Report
放射光による冠動脈微小循環ならびに新生血管の可視化の研究
Project/Area Number |
15390371
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
榊原 謙 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60192085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 昌之助 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70359579)
兵藤 一行 高エネルギー加速器研究機構, 物質第一研究系, 助手 (60201729)
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Keywords | 放射光 / 冠動脈造影 / 動脈形成(Arteriogenesis) / 冠攣縮 / 電位依存性Kチャネル / エストロゲン / 血管新生 / G-SCF |
Research Abstract |
1.微小冠攣縮の研究 ラットのランゲンドルフ灌流心で、冠攣縮の危険因子を比較した。NO産生障害としてeNOS阻害剤(L-NNA)、血管収縮因子亢進として、Kチャネル阻害剤(4-aminopyridine:4-AP)、エストロゲン因子として卵巣摘出群を用いた。冠攣縮の評価は、冠攣縮発生率、冠動脈完全閉塞率を用いた。4-AP負荷では、雄性ラット(n=22)の冠攣縮発生率は64%、雌性ラット(n=8)は100%であった。雌性ラットで4-AP負荷(n=8)の冠攣縮出現率は100%であるのに対し、L-NNAでは83%であった。いずれも完全閉塞例はなかった。雌性ラットの4-AP負荷では卵巣の有無にかかわらず冠攣縮出現率は100%であったが、完全閉塞率でみると非卵摘群の0%に対し、卵摘群(n=9)では89%であった(p<0.05)。この結果、女性の卵巣摘出が最大の冠攣縮危険因子であった。 2.新生血管可視化の研究 ラット心筋梗塞を作成し、一部に血管新生因子G-CSFを投与した。詳細な冠動脈造影が得られ、かつ、左冠動脈前下行枝(LAD)が結紮されていたのは12例であった。このうち、G-CSFの投与群は4例であり、非投与群は8例であった。描出最小血管径は50μmであった。新生血管は血管径により、50〜200μmの動脈形成(arteriogenesis)とそれ以下の毛細血管の増生(angiogenesis)と区別される。従って、放射光冠動脈造影は、動脈形成を可視化した。LAD結紮部位以下に広範な無血管領域が形成され、梗塞部位の菲薄化と線維化が認められた。無血管領域に向かって、右冠動脈より側副血行が形成された。G-CSF使用例では、無血管領域への側副血行は明らかな虚血中心部への指向性を示したが、有効標本数が少ないため結論には至っていない。次年度は免疫組織学的手法と画像評価の対応を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)