2005 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性動脈硬化症に対する炎症制御による新しい遺伝子治療の探索研究
Project/Area Number |
15390375
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古森 公浩 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40225587)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門松 健治 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80204519)
山本 清人 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (10298359)
小林 昌義 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (60329381)
|
Keywords | ミッドカイン / 自家静脈グラフト / 内膜肥厚 / 遺伝子治療 / siRNA |
Research Abstract |
背景:我々はミッドカイン(以下,MK)欠損マウスを用いた再狭窄モデルで,動脈における新生内膜の形成が有意に抑制され,さらにそれがMKの全身投与によって増強することを示しており,MKは新生内膜形成に重要であると考えられる. 目的:静脈グラフト内膜肥厚とMKとの関連を明らかにし,さらにMKをターゲットとしたsiRNAの徐放性投与が静脈グラフト内膜肥厚を抑制するかどうかを検討した. 方法:ウサギMKを標的としたsiRNAを作製し,in vitroでその効果を確認した.次に,全身麻酔下にウサギの顔面静脈を用いて総頚動脈に間置バイパス術を施行し,以下の実験を行った.1)ウェスタンブロット法および免疫組織染色にてMKの発現経過,局在を確認した.2)siRNA溶液とatelocollagenを混合したものを吻合後の静脈グラフトに塗布し,ウェスタンブロット法によりMK発現の抑制効果,および4週後の組織標本により治療効果を検討した.3)Cy3標識したsiRNAを用いてグラフト壁内への導入を確認した.4)免疫組織染色により,細胞増殖,白血球浸潤の程度を検討した. 結果:作製したsiRNAはin vitroにおいてMKの発現を抑制した.正常静脈ではMKの発現はほとんど認めないが,術後5日目頃より増強し,7〜14日でピークを迎えた.その発現は新生内膜および中膜が中心であった.siRNAは術後1週間でもグラフト壁内に残存しており,MKの発現は約1/4に抑制されていた.アテロコラーゲンを用いたsiRNAの投与により,新生内膜の形成が有意に抑制されており,細胞増殖および白血球浸潤も抑制されていた. まとめ:MKを標的としたsiRNAのコラーゲンによる徐放性投与は静脈グラフト内膜肥厚の抑制を目的とする治療手段となりうると考えられた.
|