2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子FHITのカスケード解析と癌遺伝子治療法の確立
Project/Area Number |
15390379
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三森 功士 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50322748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70190999)
井上 裕 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (90203249)
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Keywords | FHIT / PG E2 / COX-2 / adenoviral FHIT / Apoptosis / c-Src / clorectal cancer / carcinogens |
Research Abstract |
発癌・癌進展機構を解明する上で、生体内外の環境因子の影響による遺伝子変異の機序解明が待たれている。われわれは、FHIT遺伝子を同定し、飲酒喫煙という体外の環境因子暴露により変異を来す新しいタイプの癌抑制遺伝子であることを報告した(Mori M, Cancer Res 2000)。今回の研究では特に癌化・癌進展機構において重要な体内環境因子であるCOX2/PGE2経路についてFHITとの関係を調べた。さらにFHIT発現により変異を来す遺伝子群を包括的に解析し特徴的な遺伝子群のうち発癌・癌進展において重要な分子機構を同定した。 1)Cox2:大腸発がん進展において重要な役割を担う、生体内癌関連遺伝子の一つであり、Cox2とFhitとの関連について大腸癌62例において免疫染色法にて調べた。結果Cox2(+)/Fhit(-)症例はCox2(-)/Fhi(+)症例に比してDukes病期と深達度において有意に高い悪性度を示すことを明らかにした。したがってFHITとCOX2の発現はCox2阻害剤の投与症例の選択においても有用と考えられた。また、FHIT発現株にCOX2発現誘導刺激(LPS,PMA,IL-1 beta)を加えたところ,COX2の代謝産物であるPGE2産制能はコントロールに比べて平均0.75倍(0.35-0.98)減少していた。従って、FhitがCOX2の上流に位置することと、FhitによるCOX2関連の大腸発癌制御の可能性が示された。本内容は現在Clin Cancer Res誌に投稿中である。 2)上記内容をさらに明らかにするために、Ad-FHITの導入によるapoptosisの誘導株と非誘導株間における遺伝子発現の差異を包括的に解析して、抗腫瘍効果を発揮する場合において特徴的な遺伝子群を同定した。Apoptosisを誘導しうる株化細胞で有意に発現上昇していた遺伝子としてc-Src, JAK-1等を認めた。 以上より癌抑制遺伝子Fhitが、COX2/PGE2を介した炎症に起因する発癌機構を分子標的として制御しうることが期待された。また、ごく最近FHITとc-Srcの燐酸化との関係について明らかにされたように、今回の包括的解析においてAd-FHIT導入によるapoptosis誘導機構として、c-Srcの燐酸化も標的機構として重要であることが明らかとなった。本内容は現在Ann Surg Oncol誌に投稿中である。
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Research Products
(7 results)