2003 Fiscal Year Annual Research Report
虚血耐性におけるHIF-1αの機能解明とその制御によるスーパー肝細胞の開発
Project/Area Number |
15390384
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島津 元秀 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70124948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 亘人 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00245549)
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Keywords | 低酸素 / HIF-1 / ノックアウトマウス / 虚血 / 肝再生 / 部分肝切除術 |
Research Abstract |
本研究課題は将来の臨床応用に繋がるより高い虚血耐性能を有する肝細胞の開発を目指し、低酸素環境への肝実質細胞の機能的適応変化に関する分子メカニズムを解明することを目的としている。本年度は研究計画通りに実験に従事し、Cre-loxp systemを用いて作成した肝臓特異的HIF-1α(hypoxia inducible factor)遺伝子欠損マウス(HIF-/-)の詳細な生化学的・組織学的なcharacterizationを行った。まず、in vivoにおけるCre recombinase蛋白発現によるHIF-1α遺伝子改変効率を定量的に解析するためにSouthern blotを行った。その結果、8週令HIF-/-マウスでは肝臓特異的に約60%のHIF-1α遺伝子欠損が起きていることが明らかになった。しかし、このマウスにおける出生後の体重増加率は対照群と比較して大きな変化がなく、また成獣における肝湿重量/体重比においても両者間に著名な変化は認められなかった。一方、HIF-/-マウス肝臓のH.E.染色による組織学的検討では、肝小葉構築形成には異常が認められないものの対照群と比較して終末肝静脈と終末門脈の間の肝小葉内血管間距離が約50μm延長していることが明らかになった。現在、この血管間距離の変化が肝小葉内血管数の現象によるものか否かおよびこの現象による肝小葉の機能的変化の有無について解析を行っている。また、HIF-1遺伝子欠損による定常状態における肝臓内遺伝子発現変化の有無について定量的RT-PCR法にて解析を行ったが、PGK, PK, VEGFなど低酸素刺激によりその発現がHIF-1依存的に誘導されることが報告されている遺伝子群の発現に変化は認められなかった。次に、肝再生機構におけるHIF-1の関与を明らかにするために外科的2/3部分肝切除術を行った。その結果、HIF-1-/-マウスも対照群同様に約1週間以内に肝重量の回復が認められ肝再生が起きることが明らかになったが、術後3日までHIF-1-/-マウスでは肝重量の回復率が対照群と比べ低下しており早期肝再生過程においてHIF-1が重要な役割を演じていることが明らかになった。今後、この分子メカニズムについて検討を行って行く予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Morisue, A: "The role of nitric oxide after a short period of liver ischemia-reperfusion."J Surg Res.. 109・2. 101-109 (2003)
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[Publications] Uchida, N: "Induction of indefinite survival of fully allogeneic cardiac grafts and generation of regulatory cells by intratracheal delivery of alloantigens under blockade of the CD40 pathway."Transplantation. 75・6. 878-884 (2003)
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[Publications] Kato, Y: "Bilirubin rinse : A simple protectant against the rat liver graf mimicking heme oxygenase-1 preconditioning."Hepatology. 38・2. 364-373 (2003)
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[Publications] Aramaki, O: "CD27/CD70, CD134/CD134 ligand, and CD30/CD153 pathways are independently essential for generation of regulatory cells after intratracheal delivery of alloantigen."Transplantation. 76・5. 772-776 (2003)
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[Publications] Shimazu, M: "Living donor liver transplantation with special reference to ABO-incompatible grafts and small-for-size grafts."World J Surg.. 28・1. 2-7 (2004)
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[Publications] Yoshida, M: "A possible defensive mechanism in the basal region of gastric mucosa and the healing of erosions."Clin Hemorheol Microcirc.. 29・3,4. 301-312 (2003)