2004 Fiscal Year Annual Research Report
臨床膵島移植成功へのブレイクスルー:グラフト機能障害の制御に関する研究
Project/Area Number |
15390386
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安波 洋一 福岡大学, 医学部, 助教授 (00166521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠 晋一朗 福岡大学, 医学部, 助手 (30279286)
永井 哲 福岡大学, 医学部, 助手 (10320300)
中野 昌彦 福岡大学, 医学部, 助手 (90389354)
波部 重久 福岡大学, 医学部, 講師 (70037430)
中山 俊憲 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50237468)
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Keywords | 膵島移植 / 糖尿病 / NKT細胞 / グラフト障害 |
Research Abstract |
臨床膵島移植に於ける現在の最も重要な課題は、一人のレシピエントへの移植を成功させるためには2-3人のドナー膵臓より単離した膵島を必要とする事、すなわち一人のドナーより一人のレシピエントへの移植では成功しないことが挙げられる。この問題の解決が臨床膵島移植の急務となっている。本研究では移植膵島の生着(engraftment)に着目、移植後のグラフト障害メカニズムを解析し、以下の知見を見いだした。 #1.肝内移植後の膵島細胞障害に炎症性サイトカインが必須の役割を担っている。 C57BL/6マウスをドナー、レシピエントに使用した。レシピエントはストレプトゾトシン(STZ)を静注、糖尿病とし、単離膵島(isografts)を経門脈的肝内に移植した。一匹のマウス膵臓より単離可能膵島数は200個である。このモデルでは400個の膵島を移植すると、レシピエントの血糖は移植後1-2日で正常化するが200個の移植では高血糖で推移した。抗IFN-γ抗体を移植後に投与すると、200個の単離膵島移植でマウスの血糖は正常化した。抗TNF-α抗体または抗IL-1β抗体の単独投与でも同様の結果が得られた。さらにドナー膵島数を100個にした場合、それぞれの抗体の単独投与では移植後に糖尿病レシピエントの血糖は正常化しなかったが、3抗体同時に投与すると、正常血糖となった。同種移植でも免疫抑制剤の使用による拒絶反応の制御下で、同様の所見が得られた。このことは一匹のドナーより2匹のレシピエントマウスへの移植が可能となることを示している。 上記知見は膵島肝内移植後に発現するグラフト障害に炎症性サイトカインが必須の役割を担っており、その制御によりone donor-one recipientの膵島移植が可能となることを示唆している。
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Research Products
(2 results)