2003 Fiscal Year Annual Research Report
SNP解析可能な次世代DNAチップとTRAPを用いた膵癌遺伝子診断システムの開発
Project/Area Number |
15390399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
水元 一博 九州大学, 大学病院, 講師 (90253418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 繁織 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60188208)
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
永井 英司 九州大学, 大学病院, 助手 (30264021)
井出 利憲 広島大学, 大学院・医師薬総合研究所, 教授 (60012746)
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Keywords | 膵癌 / テロメアーゼ / HPA-TRAP / ECAチップ |
Research Abstract |
膵液を用いる分子解析のなかで、テロメラーゼ活性の測定による方法は感度が高く、肺癌の臨床診断に有効であることを我々は報告してきた。しかし、従来の測定系(TRAP法)では、手技の複雑さや、測定時間、非放射性蛍光色素(SYBR Green)の感度、再現性などの問題から、未だに定型的臨床診断法とは成り得ていない。Hybridization Protection Assay(HPA法)とTRAP法を組み合わせたHPA/TRAP法は、超高感度のテロメラーゼ活性測定法であり、4時間という短時間で測定可能である。我々は膵液解析のためにHPA/TRAP法に改良を加え、臨床診断に極めて有用な測定系を確立した。 膵癌細胞株と膵液を混合させる実験系から、膵液を用いる場合、プロテアーゼ阻害剤とRNase阻害剤を十分に添加することが必須であることが判明した。SYBR Greenを用いたTRAP法では、肺癌細胞100個の活性が検出限界であったが、HPA/TRAP法では、0.01個分の活性を検出でき、10000倍の感度があった。高感度であるため、測定に必要な蛋白量は0.6μgの微量で十分であり、膵液中のPCR阻害物質の影響を排除することが可能となった。 ERCP下に採取した膵液サンプル52例について、HPA/TRAP法でテロメラーゼ活性を測定し、活性をGrade1から5まで分類した。慢性膵炎の症例は全てGrade2以下であった。21例のIPMTのうち2例がGrade5で、その他のIPMTと2例のMCTはGrade2以下であった。膵癌11例のうち、主膵管に完全閉塞があった2例はGrade1であったが、それ以外の9例のうち7例(81%)はGrade4または5の非常に高いテロメラーゼ活性を示し、診断に有用であった。以上の検討からHPA/TRAP法は、膵癌の診断に有用な超高感度のテロメラーゼ測定法であることが示された。 なお、ECAチップによる研究は現在継続中である。
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