2003 Fiscal Year Annual Research Report
フィブロネクチン・フラグメントによる血管壁構造の形成に関する研究
Project/Area Number |
15390406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安田 慶秀 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60125359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国原 孝 北海道大学, 医学部・歯学部付属病院, 医員
椎谷 紀彦 北海道大学, 医学部・歯学部付属病院, 講師 (00250449)
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Keywords | 人工血管 / フィブロネクチン・フラグメント / 内皮化促進 / カルボキシル化 |
Research Abstract |
研究要約 フィブロネクチン(FN)は体液、結合組織および多くの基底膜に認められ、その大部分を内皮細胞で合成される二重鎖の多機能糖蛋白である。この物質はコラーゲン、フィブリン、ヘパリン、増殖因子や細胞などとの結合部位を有し、創傷治癒過程において重要な役割が指摘されている。近年、FN分子中に存在する細胞接着部位のアミノ酸配列であるFNフラグメントのGRGDSP(Gly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro)が発見され、このFNフラグメントは良好な人工血管の内皮化を得られると考えられる。今回我々は、FNフラグメント(GRGDSP)をプラズマ処理にて人工血管に結合させより効率の良い内皮化促進を目的とし、実験を進めている。 研究方法 1)人工血管のカルボキシル化を目的とし、アクリル酸を使用しプラズマ処理にて人工血管に結合させる実験:3群のアクリル酸濃度によるカルボキシル化の量および電子顕微鏡による人工血管表面解析検討)。2)FNフラグメント(GRGDSP)をカルボキシル化人工血管に縮合反応にて結合させる実験:3群で反応時間、人工血管表面の染色、X線解析、および電子顕微鏡による表面解析を実施。3)上記の9群(3×3)に対し、血管内皮細胞を使用し、培養24時間後の細胞生着状態を観察する実験:人工血管表面の電子顕微鏡写真、factor VIIIによる血管内皮細胞の染色。以上の実験結果に基づきカルボキシル化および縮合反応の条件を決定する。なお、実験群はFN、GRGDSP、noncoating ePTFEの3群を実施する。 今後、(短期30日・長期100日)移植後の新規人工血管の開存率、物理学的特性(引っ張り強度など)、電子顕微鏡、HE染色、Azan染色(線維増生の確認)、免疫染色により内皮細胞(factor VIII抗体)、収縮型合成型平滑筋細胞(SM1、SM2、Smemb抗体)および線維芽細胞(vimentin抗体)を染色し侵入細胞の同定を実施。また、増殖因子であるVEGF、bFGF、HGFおよびPDGFの発現有無を免疫染色で確認する。免疫染色で発現した増殖因子のmRNA発現をRT-PCRで確認する。
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